古くから社是として安全性を第一に考えているメーカーらしくEX30にも安全機能はてんこ盛りです。まさかその1つ1つを試すわけにはいきませんから、詳細は広報の説明資料から抜粋した次図をご確認ください。
Model 3乗りとして気になるのは、高速道路などでの運転支援機能の性能です。Teslaにはオートパイロット(AP)と呼ばれる運転支援機能が標準で装備されています。EX30にも、アダプティブ・クルーズ・コントロール、パイロット・アシスト(車線維持支援機能)などの運転支援が標準で装備されています。パイロット・アシストは、Teslaで言うところのオートステアリングに分類されるものです。
結論から言うと、TeslaのオートパイロットとEX30の運転支援は、まったく別の考え方で作られているように感じました。EX30のパイロット・アシストは、直線はもちろん、緩いカーブで車線の中央を維持しようとするのはAPと同じです。
しかし、その挙動はAPとはかなり異なります。パイロット・アシストがオンであっても、ステアリングを意思を持って軽い力で回すとクルマはその方向に向かって進みます。例えば、横に大型トラックが並んだときなど、車線を維持しつつ、トラックから距離を置きたい場合などに便利です。
つまり、車線の中央維持はあくまでも「サポート」であり、ドライバーの意思を第一義に尊重し、軽くでもステアリングを回すとパイロット・アシストを維持したまま、進路を変えることができます。
一方のAPは、車線の中央をかたくなに維持しようとします。そこから進路を変えようとするとハンドルから強い反発を受けます。進路変更するには、相応の力でハンドルを回さなければなりません。そして、APはその瞬間にキャンセルされます。APの方は「速度調整とハンドル操作は任せろ」と言わんばかりの挙動で、より自動運転に近い考え方で作られている印象です。
APに慣れている筆者だけに、EX30の件の挙動は最初、さすがに驚きましたが、そういうものだと理解した後は、問題なく接する事ができました。ちなみに、APはウインカーを作動させると強い反発を受けることなく進行方向にハンドルを切ることができます。そして、APはキャンセルされます。ウインカー作動でパイロット・アシストがキャンセルされるのはEX30も同じでした。
試乗のコースが交通量の多い高速道路に限定されていたので、残念ながらオートレーンチェンジは作動しませんでした。変更先のレーンにある程度の余裕がないと作動しないようです。
EX30には、21年型のModel 3にはないカメラビュー機能があります。バードアイ映像です。シフトを後退に入れると、自動的に真上からの俯瞰画面に切り替わります。この映像があるだけで、ものすごく安心感があります。
EX30には、パークパイロットアシストという自動駐車機能が標準で装備されています。かなり優秀なようです。「ようです」としたのは、筆者の度胸が足りず、駐車コンプリートまでにいたらなかったからです。自動でハンドルを操作し、枠内へ自走してくれるのですが、最後の最後で、怖くてブレーキを踏んでしまいました。ブレーキを踏むと機能がキャンセルされてしまいます。
後から動画を見ると、近接センサーで隣のクルマとの距離が最小46センチまで迫ったところで、怖くなってブレーキを踏んでいます。センサーの警告音の間隔が次第に速くなりモニターで見ていると、ぶつかる!と感じてしまったからです。
車両を返却した後、担当者に確認すると「距離は20センチくらいまで攻めるのでそのままブレーキを踏まないでいるとちゃんと枠の真ん中に駐車します」とのこと。動画をご覧頂くと分かりますが、コンプリート寸前でブレーキ踏んでいるので、このまま見守っていれば、もう一回切り返して枠の真ん中に自動で駐車できたのかもしれません。
このパークパイロットアシストは、隣車との距離だけでなく、駐車時の速度も攻めます。筆者が普段手動で行うより、素早い駐車が可能だと感じました。ただ、駐車枠の隣に他車が止まっていないと機能しない場合もあるようです。試しに、がら空きの白線枠だけのところで試しましたが、システムが駐車枠を見つけることができず、機能自体をオンにすることができませんでした。広報の弁では「白線などの諸状況により、その状況でシステムが駐車枠を認識しなかったことによるものと思われます」とのことです。
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