「そうやって軽量モデルをいくつか出して、それらも沢山買っていただいたんですけど、高倍率を求める声が多くなり、14倍の商品化を決定しました。ただ、明るさの維持を考えると大口径化が必要となり、重量増は避けられません。しかし、女性の支持をいただくには軽量化も重要なポイントでした。そこで工夫こらしたのですが、それでも500gを超えました。一応、コンサート用として出したんですけど、果たして女性は買ってくれるのかという心配はありました」と坂口さん。
しかし、結果的には500g超の製品でも女性ユーザーに使ってもらえたそうだ。しかも、当初は倍率が低くて価格が安いものを中心に売れていたのが、高倍率の需要がどんどん高まっていった。
手ブレしないなら、高倍率が欲しいというのは、双眼鏡でコンサートや観劇を見るのが当たり前になっている人にとって当然の願望だろう。14倍のモデルの売れ行きの伸びを受けて、今回の16倍のモデル「ATERA II ED H16×50WP」の開発が始まった。
「ただ、スペック的に14倍から16倍って、2倍しか倍率が違わないんです。その上で16倍を購入していただくには、明るさを維持しつつ、さらにキレイに見えるということも重要になると考えました。それで、明るさを維持するために大口径化し、より高精細な像を見ていただけるようEDレンズを採用という形で開発していきました」とビクセン取締役でデザインマーケティング部の三上さえ子さん。
明るい双眼鏡を作ろうとすると、レンズの口径は大きくなる。スタビライザーを内蔵するよりも、レンズの口径を大きくする方が、重さへの影響が遥かに多いのは、光学機器の宿命というか、結局、高倍率で明るいレンズは重いのだ。それはカメラがお好きな方も良く知っている事実だろう。
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