当然、ギターを弾いている対象は動くし、ローポジションからハイポジションへと、指も大きく動くのだけど、楽に動きについていくことができたのだ。これなら、武道館の3階席からでも、ミュージシャンの表情が確認できるだろう。
スタビライザーについては、この製品は、防振の仕方の違う2種類のプログラム・アルゴリズムを搭載。細かい揺れを完全に止めるモードと、大きな揺れをピタッと止めるモードの二種類を切り替えられるようになっている。
これは、多少手が震えても視界はブレないけれど、長時間同じ場所を見ていると、像は少し動いているという、腕の弱い人もストレスなく見てもらおうというモードと、大きな揺れに対しては完全に止めるけれど、細かい震えなどでは像が震えてしまうことがあるモード。これはもうどちらが優れているというものではないから、状況や好みで使い分けてほしいということだった。
双眼鏡を使っていて面白いのは、これだけ明るい視野なのに、カメラでいうところの被写界深度が意外に深いことだ。適当にピントを合わせて、ギターを弾く左手を見れば、十分シャープに見えるし、対象が動こうと、対象の左右に立つ別のギタリストを見ようと、ピントの合わせ直しが必要ないのだ。
もちろん、全く距離が違う場所を見れば、ピントは合わせ直さなければならない。でも、同じステージの左右に振るくらいなら、ほぼピントリングに触る必要がない。
これは、この連載のVariluxのメガネの記事でも書いたけれど、写真の場合、平面のフィルムやセンサーに投影する必要があるので、ピントも厳密に合わせなければならないが、メガネや双眼鏡は、人間の持つ脳内の整理機能の働きが大きいと考えられている。
人間が目で見たものは当然ピントが合っていて、背景がボケているなどと意識することがない。そんな風に、厳密にピントが合っていなくても、目と脳が調整・補完してくれるのだ。また、目が持っているオートフォーカス機能も利用することができる。そのため、厳密なピント合わせをしなくてもピントが合っているように見えるわけだ。
さらに、この製品の場合、女性が使うことを想定して作られていることもあって、ピント調整のリングの位置が、とても操作しやすい位置にあるのだ。しかも、リング自体が長めに作られているので、自分が動かしやすい指を使うことができる。さらに、視野が明るいのでピントが合わせやすいというのもある。
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