電気通信大学、東京科学大学などの研究グループは10月23日、実際の魚類に匹敵する速度で泳げる魚ロボットを開発したと発表した。電磁モーターによって柔らかい体を直接動かすことで、高い遊泳能力を実現。現存する水中ロボットの中で最も速い旋回ができるという。
これまで生物を模倣するロボットは、動力源が電磁モーターか柔らかい人工筋肉かで大別されてきた。電磁モーターは出力や応答性に優れるものの、ギアなどの追加部品によってロボットの構造は複雑になってしまう。一方、人工筋肉を使うロボットは、単純な構造になるが、出力や応答性が低いという問題があった。
そこで研究グループでは、電磁モーターによって、柔らかい体を直接動かすロボットを開発。柔軟なロボットの体は水を受けて変形し、複雑な制御なしで実際の魚のような動きを実現した。また単純な構造により耐久性の向上も期待できる。
結果、開発した魚ロボットは最大で2.6m/sの速度で遊泳することを確認できた。速度を体長で割った値である体長比速度に直すと6.3体長/秒となり、既存の生物学上のデータを参照すると、実際の魚類と同等かそれ以上の性能であるとしている。
他にも、現存する水中ロボットの中で最大の旋回速度である1450度/sも達成。電動モーターの回転する角度を広くできたことで、ロボットの体を瞬間的に大きく変形できたことが要因だという。
研究グループは、これらの結果について「直接駆動方式は水中ロボットの高性能化に有効であると実証した」と説明。さらに高性能化すれば、トビウオのように離水して滑空するロボットも実現できるかもしれないと期待している。
なお研究成果は、科学雑誌「npj Robotics」に22日付で掲載。
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