もともとEYEの運用期間は2年程度と目されていたが、それは「衛星のハードウェア的な寿命と運用高度下限を鑑みて」(ソニー)想定したものだった。
そして今回、各省庁に届出を出している運用高度の下限に達したために運用を停止した。人工衛星の高度が下がってくると大気密度が濃くなり、摩擦が大きくなる。そうした環境の変化による高度低下の速度が予想より早かった、ということのようだ。
EYEの運用期間中に宇宙撮影を体験した人は、「宇宙撮影体験」や「プラネタリウム100周年記念事業」公認企画として23年10月から実施した「こども地球撮影プロジェクト」などへの参加も含めて約500人だった。撮影した写真は約300枚。写真はSTAR SPHERE公式サイトにも掲載されている。
こうした試みは高く評価され、24年10月に発表されたグッドデザイン賞では「宇宙宙撮影体験サービス」が「グッドデザイン・ベスト100」に選出された。「人工衛星を通じた宇宙へのアクセスの機会を一般人に開放することで、これまでの宇宙と私たちの関わり方を一新させる画期的な取り組み」(グッドデザイン賞の選評より)。
停波したEYEは、今後、大気圏に再突入する見通し。ソニーグループでは、EYEの再突入を確認した後、3月にEYEをしのぶイベントを開催する予定だという。
「運用終了式前に停波となるハプニングもありましたが、打上げ当初から多くの困難がありながらもたくさんの素敵な景色を届けてくれたEYEへの感謝でいっぱいです。『宇宙を身近にする』という、我々の思いは続きます。もう少し、お付き合いください」(STAR SPHERE公式Xアカウント)
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