午前11時前に安土城跡を出発し、琵琶湖畔の道路から琵琶湖大橋を渡り、大津市坂本の日吉東照宮を目指します。この付近は、穴太衆と呼ばれる戦国時代に活躍した石工集団の野面積みの石垣をたくさん見ることができます。折しも紅葉の時期と重なりそれ目当ての観光客がたくさん訪れていましたが、筆者は紅葉には目もくれず、石垣ばかりを写真に収めて悦に入っていました。
穴太衆の郷を出発し、徳川家康が築いた琵琶湖の浮城として知られる大津市の膳所城跡の湖中の石垣を時間をかけて見分していたらあっというまに午後3時近くになっていました。予定では滋賀県長浜市の小谷城跡まで足を伸ばすつもりでしたが、今からだと到着時には日が暮れてしまいます。今回は諦めて横浜を目指して出発します。
午後3時頃に、膳所城跡をバッテリー残量59%で出発しました。トリップアドバイザーによると217km先の遠州森町PAの外駐車場に新設された新デザインのSCでの充電をアドバイスしています。新デザインのSCを体験してみたかったので、その設定のまま出発です。遠州森町SCには残り19%で到着と表示されています。もっと電力を消費するかと思っていたのですが、気温が18度もあったのでバッテリーにはちょうど良い外気温だったのかもしれません。
ちなみに、この原稿を書いている2月下旬、Teslaアプリのトリップアドバイザーで、同じ条件で検索するとバッテリー残10%で到着と表示されます。11月末と比較して気温が10度近く低く、強風注意報が出ているためと思われます。Teslaのトリップアドバイザーが気象などのパラメーターを考慮して、アドバイスしていることが想像できます。
途中、トイレタイムや仮眠を挟み遠州森町SCに到着したのは午後7時でした。名古屋付近では夕刻の渋滞に巻き込まれたことから、平均時速は67km/hで電費は139Wh/km(7.2km/kWh)、バッテリー残量16%で到着です。トリップアドバイザーの予測より3%減でした。
予測下振れの原因はよく分かりませんが、急速充電に備え走行中バッテリーをあたためるプレコンディショニングによる消費が一因だと思われます。Teslaのログサービスである「TeslaFi」を確認すると、この行程においてプレコンディショニングが行程の約2割の時間でオンになっていたことが記録されています。
遠州森町SCはPAの外部駐車場に設置されているので、スマートICから退出する必要があります。再入場による横浜青葉ICまでの初乗り加算分は1120円です。
同SCは、簡単な工事でPA内駐車場と接続できる、そんな造りになっている印象です。日本では26年中に発売を開始するソニー・ホンダモビリティーのAFEELAもスーパーチャージャーに対応するそうです。12基という強気の設置数は、将来、SA/PA内の充電設備の他社開放もあり得るというTesla日本法人の先手を打った戦略なのかと想像したりもします。
遠州森町SCでは、トレイを済ませ14分かけて30.24kWhを充電し、60%まで回復しました。さて、ここから駿河湾沼津SAまでの区間で120km/hの電費テストを行います。速度120km/hをなるべくキープして走ります。
ただし、後からログを確認すると平均速度112km/hでした。夜はトラックが多く、彼らは真ん中の走行車線をおおむね100km/h程度で走っています。その度にタイミングを見計らって追い越車線に出てトラックを追い越すのですが、後続車もありどうしてもアクセルを緩める場面があり、完全に120km/hをキープするのは困難な状況でした。かといって、延々と追い越し車線を走るのはルール違反です。
この区間の電費は160Wh/km(6.25km/kWh)でした。外気温は14度でタイヤの空気圧は2.9barとTeslaの推奨値です。往路の同区間は平均80km/h強で122Wh/km(8.2km/kWh)だったので、約24%の電費悪化です。単純計算で比較すると、平均80km/hの場合500km走破できるところが、120km/hでは380kmまで下落することになります。
電費優等生のModel 3ですらこれですからEVにとって高速時の電費悪化は宿命的なものなのかもしれません。高速域になるとモーターの効率が悪化し、空気抵抗が速度の2乗に比例して増すので、致し方ないでしょう。そういえば、ポルシェのEV「タイカン」は2速のトランスミッションを搭載しEVの弱点を克服しようとしていますが、高速電費はどうなのでしょうか。
駿河湾沼津SAから一般道を含む横浜の自宅までは、平均73km/hと通常運転に戻した結果、121Wh/km(8.26km/kWh)と電費優等生復活です。自宅には、22時30分頃に残り17%で到着しました。この日は、493.25kmを電力量66.67kWhを使って、電費135Wh/km(7.41km/kWh)で走破した計算になります。ちなみに、66.67kWhは、我が家の電気代の3日分に相当します(含む車両充電、年間平均からの算出)。
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