着信拒否を行うためには、別途市販のアプリをインストールする必要がある。App Storeで「スパム電話」などと検索すれば、対策ソフトがいくつか見つかる。評判の良さそうなものをインストールすればいいだろう。大抵は30日間の無料体験サービスがついているので、動作状況をチェックすることができる。
この手のアプリをインストールすると、「電話」設定の「着信拒否設定と着信ID」というところにアプリによるブロック項目が出てくる。これをオンにして、目的の機能を選択するというスタイルだ。
Androidの場合は、「電話」アプリの設定から、「発信者番号/迷惑電話」の項目を開いて、両方の設定をオンにする。デフォルトでオンになっているはずだ。これは相手の電話番号がGoogleに送信され、データベースから発信相手を特定したり、迷惑電話を判定してブロックする機能だ。
またGoogle Pixelシリーズでは、電話がかかってくるとAIが変わって応対し、相手の話した内容がリアルタイムで文字起こしされる「通話スクリーニング」機能が使える。文字起こしされた内容を見て、電話に出るかどうかを判断するわけだ。
これらの機能のメリットは、迷惑電話に逐一対応する必要がなくなるというだけでなく、本当に何らかの緊急連絡であった場合に、相手が何らかのメッセージさえ残してくれれば対応できるという点にある。連絡先リストにない番号を何もかもブロックするのでは都合が悪いケースを、AIを間に挟むことで回避するわけだ。
こうした機能が普及するにつれ、電話応対の常識は変わっていくだろう。電話をかけて相手が1発で出る可能性はなくなり、何らかのメッセージを残さなければ通話が成立しないということが当たり前になるわけだ。ただコールバックした際も、こちらが発信者番号通知をオンにしていないと相手が出ないという、堂々巡りになる可能性もある。
数字さえ合っていれば誰かにつながるというレガシーシステムである電話は、ここにきて当初の役割を終えつつある。先日も「楽天モバイル」のシステムに不正接続し、3万5000件もの回線契約を搾取した高校生の事件があったばかりだ。不正利用はこの件だけではないはずで、迷惑電話の回線リソースはまだまだいくらでもあるということになる。キャリアには自社回線の総チェックが求められる。
しかし数字さえ伝えれば連絡がつけられるというイージーさは、1つの利点でもある。もう電話いらないんじゃないかという議論の前に、自衛手段を講じて迷惑電話が減るのか、社会実験するタイミングが今、なのだろう。
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