4月14日に開幕した大阪・関西万博のあるトイレが、「構造がおかしい」「使い方が分かりにくい」とネットで物議をかもした。このトイレ、筆者が4月17日に訪問した際は、ちょっぴり改善されていた。
問題のトイレは、大屋根リング内、パビリオンが林立するエリアにある、銀色のトイレ棟「トイレ1」だ。
トイレ1は、仮設トイレのように個室が一つずつ並んでいる。男女別で、男子の小用も個室だ。
難儀なのは、出口が入り口の反対側にあるという特殊な仕様。前に入った人がまだ入っているのかもう出たのか、入り口側に並んでいると分からない。前の人が出ると、入り口ドアのおしゃれなランプが消灯するのだが、その解説もないため、「空いてるのか? 空いてないのか?」と困惑するのだ。
このトイレ、実際に使った人から「わかりにくすぎる」と大不評。使い方を紹介したXの投稿は、数百万回以上閲覧され、批判が殺到していた。
筆者は4月17日に万博を訪れた際「トイレ1」を発見。同日には、個室ごとに「こちらは入り口専用です。出口は入って反対側の扉にあります」と、張り紙が追加されていた。「空いているか分かりにくい」という声に応え、急きょ、案内を追加したようだ。
ただ、このトイレは他より行列が長く、通常行列が少ない男子ブースも多くの人が並んでいたのだ。他の通常トイレでは、ほぼ行列を見なかったのに。
人が多く行き交う広場の真ん中で、外観が銀色。「トイレ」と大きな標識もある。とても目立つトイレなのにすべてが個室かつ使い方が独特なので、列の流れが悪いようだ。
この「トイレ1」はトイレとしての役割以上に、パビリオンの一つ、コンセプトアートの一つとして作られた結果、トイレとしての機能が分かりにくくなってしまったように思う。
万博の解説によるとこのトイレは、「入口から入り、出口から出ると、アーカイブされた夢洲の生態系を一望できる」というコンセプト。出口の先に、かつて夢洲に存在した生態系をモチーフにした「夢洲の庭」をつくることで、人間と自然の共生に思いを馳せてほしい、という思いでつくられたそうだ。
ただ、そのコンセプトと「トイレ」が恐ろしくミスマッチだった。トイレに急いでいる人は「人間と自然の共生に思いを馳せよう」などという余裕はなく、「早くトイレに入りたい」とジリジリしながら行列しているのだから。
「トイレ1」も、コンセプトを伝えた上で「ややこしいけれど、夢洲の生態系を楽しめますよ」と打ち出せば、"トイレパビリオン"として受け入れられたかもしれない。ただその場合は、隣に普通のトイレを設置したほうが親切だろう。
万博には、一般の商業施設にあるような普通のトイレも数多く用意されている。大きな建物の中または、大屋根リング周辺に多い。
建物として目立つトイレは、デザイナーが手掛けているパビリオンの役割も兼ねていて使いにくい可能性がある――ということを念頭におき、トイレに急いでいる時は、建物内か大屋根リング周辺で探すのがおすすめだ。
ちなみに会場のトイレはこちらのPDFに一覧でまとまっている。「トイレ○○」と書かれたトイレは、デザイナーによるコンセプトトイレのようだ。
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