実際、原稿を書く時にしても、キーボードの前に座って、指を置いたところからが、頭も本格的に動いている感じがする。もちろん、ぼーっと寝転がっていても原稿のことを考えたりはしているのだけど、それを文章という形にしようと思うのが、キーボードの前やノートの前だ。
で、そういう状況になって初めて、ぼんやりとしたアイデアや文章が具体的な形になっていく。で、書き始めることもできるというわけだ。
アイデアスケッチなども、結局は頭の中にあるものにきちんと形を与える作業で、それ自体がすぐに具体的なアイデアになるわけではなくても、少なくとも形にしようという意識にはなるわけで、それはもう作業だし勉強だろう。そこにコクヨが着目できたのは、先に子ども用の「しゅくだいやる気ペン」を開発していたからでもあると思う。
「小学生がどれくらい勉強しているのかっていうのを、すごく細かく、解像度高く調査しています。低学年だとよく言われるのが、学年×10分というもの。製品は勉強が苦手な子向けに作っているので、基本的には5分くらいペンを持って問題を読んで、5分書いたらもう終わりという、そんな感覚で使える製品作りからスタートしているので、その5分、10分の持続を励ますツールにしているんです。その部分は、実は子ども向けも大人向けも変えていません」
何かを競うとか、達成感を提供するのではなく、次の日もやろうとか、続けようという気になる手伝いをするツールというのが、この「やる気ペン」シリーズのポイントなのだろう。だから、この製品には学習の効率化とか、合理化、競争意識といった考え方が存在しない。
「アプリでは、勉強量がスゴロクのような形で表示されるのですが、そこも5分もやれば必ず1マス、2マス進めるようになっています。子どもって、グラフで見るという習慣がそもそもないですし、グラフで見ちゃうとなんか嫌になっちゃうんですよね。だから、『しゅくだいやる気ペン』のアプリでは、子どもが見る画面には数値化されたデータは一切見えないようにしています。親が見る画面にはグラフがあるんですけど、それも一週間を振り返って、何曜日にどれくらいやってるのかな? といった感じを把握する程度の解像度の低いグラフなんです」
「大人のやる気ペン」アプリの画面。ホーム画面(写真=左)では、累計のやる気タイム、週間の勉強タイムのグラフなどが表示される。またどのくらい勉強したかをグラフィカルに見せる一つのスタイルとしてスゴロク的な見せ方(写真=右)も採用した細かくデータを取る方向に進むと、例えばこちらのテキストを何分やって、こっちは週に何時間とか、そういう部分まで踏み込みたくなってくる。大人向けにそういうデータをユーザーが管理できるようにすれば、来週はここを重点的にやろうといった、未来の学習計画に役立てることができるかもしれない。
ただ、それだと、今やろうとしていることとは違うものになる。そこは今後の別の製品開発の課題になるのかもしれない。
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