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新しい老眼鏡で視界がシャープになった話 AIで“瞳孔の変化”をレンズ設計に取り入れるアプローチとは?分かりにくいけれど面白いモノたち(4/5 ページ)

» 2025年07月30日 07時14分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 一方で、バリラックスのフラグシップモデルであるバリラックスXRについては、「従来の累進度数レンズとは全く違うアイデアと技術で作られた、新しい形の累進度数レンズ」だという。最初に聞いた時にはピンと来なかった比較だが、実際に掛け比べてみると、これがとても的を射た言葉だと思えてきた。

 「そもそも、累進レンズは、何枚も何枚もレンズを重ねて実現するような状態を、1枚で作り上げているので、同じように上が0から下が2という度数の変化だったとしても、どういうふうに度数の変化をさせるかという組み合わせのやり方が、メーカーの個性だったりします。カーブが深い方がいいのか、浅い方がいいのかとか、そこをベースの設計として考えるんです。日本のメーカーだと、それを柔らかい感じで作っていくんですけど、バリラックスというメーカーは、わりと曖昧(あいまい)な部分を作らないというか、白黒ハッキリ付けます、みたいなところがあります。そのバリラックスの中でも、さらにもっともっとシャープに白黒付けていっているのがフィジオ・エクステンシーという商品なんです」と井上さん。

実際にレンズを付けるフレームにセンサーを取り付けて、iPadを使って、視線移動時の目の動きを測定する。このようなパーソナライズを行うことで、よりその人にあった緻密なレンズ設計が出来るのが、バリラックスの魅力の一つだと思う

 どこを見る時は、どういう度数がいいのかといった部分を、より緻密に設計することで、度数の境界みたいなものがなくなり、その分、ハッキリと見えるレンズになるのだそうだ。

 この度数分布の話は、この連載でかつて書いたバリラックスXRの記事を参照してほしい。その記事にも書いているが、累進度数レンズは、度数の分布を、お皿の中の砂をどこに寄せて、どこは空けるかといった感じで決めていて、だから、どうしても良く見える部分と、そうではない部分が出てくる。距離別のその分布を、よりシビアに行うのがフィジオ・エクステンシーで、見えにくい部分を極力減らして、どこでも見えるようにしたのがバリラックスXRなのだそうだ。

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