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360度カメラ界にやってきた“大型新人”の実力は? 「DJI Osmo 360」を夏のサイクリングで試してみた(4/4 ページ)

» 2025年08月29日 17時00分 公開
[山川晶之ITmedia]
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アプリは発展途上

 ハードの出来は良い感じ。ではアプリはどうか。

 Osmo 360は「DJI Mimo」というスマートフォンアプリを使う。Wi-Fi経由でのリモート撮影、撮影したデータの閲覧・ダウンロード、動画編集まで1つのアプリで完結できる。視点をダイナミックに移動させたり、寄りから引きにググッと画角を変えたり、人物やペットなど特定の被写体を自動追随させたり、「まるっと撮ってあとから編集」がアプリの中でできるようになっている。

 実はこのアプリ、Osmo PocketやOsmo Actionと共用となっている。つまり、アクションカムなどの2D映像用だったアプリを、360度にも対応させたことになる。1つのアプリで複数のカメラをサポートするので、Osmo Pocket/Actionで撮影したカットとOsmo 360で撮影したカットを1つのタイムラインに混ぜて編集することもできる。

 なお、iOS/Androidともに、OS上で360度動画を扱うことがまだできないため、スマートフォンにダウンロードした動画は基本Mimo内で管理される。そのため、動画を再生したり編集したりは基本的にMimo内で行うことになる。また、DJIは360度映像も扱える編集ソフト「DJI Studio」(Win/Mac)を無料で提供しているので、いっそPCにデータを移行してじっくり編集するというのも手だ。

【訂正:2025年9月2日午後11時】初出時、スマートフォンにダウンローした360度映像はMimo内で編集できないと記載しておりましたが、Mimoの編集機能上で「パノラマダウンロード」という名前のアルバムから呼び出せることを確認したため、表記を修正しました。

 ただし、共用アプリゆえの弊害もある。それが「クイック編集」機能だ。これは、撮影したクリップを数本選ぶだけで、アプリが自動で1本の動画に仕上げてくれるもの。複数のテンプレートから好みのものをタップするだけで、簡単に動画の印象を変えることもできる。しかしこのテンプレートがなかなか曲者で、どうも360度への最適化が完璧ではないのだ。

クイック編集機能は、複数のクリップを読み込ませることで、アプリがテンプレートに合わせて自動で動画を編集する機能。動画の長さも3段階から選べる

 というのも、どのテンプレートも画角が固定されており、視点を移動したり、画角を広げたりといった、360度のメリットを生かした編集をしてくれるわけではない。チョイスしたシーンも各カットのハイライトとはあまり言えず、先述のサイクリング動画はイチから画角、視点移動などを調整して書き出している。ちょっとくどくはあるが、Insta360のアプリの方がグリグリ視点を動かした動画を数タップで作ってくれる。この辺はアップデートでの改善を期待したい。

 もちろん、マニュアルで編集する場合には、カメラアングルをキーフレームで指定したりと細かく編集できる。カメラアングルもプリセットで複数用意しているので、簡単にダイナミックな映像を仕上げることができる。

キーフレームを打ち、始点のカメラアングルと終点のカメラアングルを決めることで、カメラの動きを指定できる

2025年は360度カメライヤーの予感

 Insta360の独走に待ったをかけたDJIだが、実はもう1社カムバックを予告しているところがある。アクションカメラでおなじみ米GoProが、ティーザーで新型360度カメラ「GoPro Max 2」の投入を表明しているのだ。

 名前の通り「前作」が存在するのだが、初代「GoPro Max」が登場したのは2019年。6年越しの新作となる。GoPro Maxは、当時にしては画質が良かった(夜は全然だめ)のもあり根強いファンもいたのだが、後継機の話が全く出ないどころか、本業のアクションカムでもパッとしない状況で「Max 2はもう望み薄か……」と諦めモードのユーザーもいたぐらいだ。

 ガワ以外の情報がまだ少ないGoPro Max 2だが、公式はレンズらしきものをユーザーが交換しているティーザーも追加で投稿している。レンズそのものか、レンズカバーなのかは判別が付かないが、もしX5と同じく、レンズ自体もユーザー自身で交換できるのならば、修理送りになるOsmo 360よりも一歩リードしていることになる(Osmo 360はレンズカバーの装着自体は可能)。

 具体的なローンチ時期は今のところ不明だが、GoProは毎年秋ごろに新製品を投入する傾向にある。これまで360度カメラの弱点だった解像度やバッテリーが次々と払拭され、選択肢も一気に増えるとなると、2025年は「360度カメライヤー」になるかもしれない。

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