「これまでも、国立科学博物館の仕事は『恐竜博』や『大哺乳類展』などでいくつかぬいぐるみを作らせて頂いたんですけど、恐竜より古い時代の古生物は初めてでした。ただ、今回はかなり早い段階から展示の目玉になりそうなものはどれかといった“あたり”が決まっていたし、キービジュアルなども見せていただけたので、まずはビッグファイブ、つまり大規模な五つの『大量絶滅』事変と、その後のそれぞれの時期からいくつか選んでぬいぐるみにしようと考えました」と木村さん。
大絶滅展の展示は、1)約4億4400万年前に海の生き物の多くを絶滅させた「O-S境界」、2)約3億8000万年前〜約3億6000万年前の活発な火山活動による寒冷化が引き起こした複数回の絶滅事変「F-F境界」、3)約2億5200万年前にシベリアの大規模火山活動に起因し、古生代の終わりを告げることになった史上最大規模の絶滅「P-T境界」、4)約2億100万年前に超大陸パンゲアの分裂を引き起こしたとされる火山活動による大絶滅、そして、その後の恐竜の時代を作る「T-J境界」、5)約6600万年前の小惑星の衝突により恐竜など中生代型生物を絶滅させた「K-Pg境界」、そして、大量絶滅こそなかったものの、寒冷化や乾燥化などによる生物の変化が大きかった新生代の、6つの時代に生きた生物や植物を、模型や化石などで振り返る、ものすごいスケールの展覧会。見ていると、よくまあ当たり前に生活できているなと思えるくらい、地球という星に生きる生命の危うさを感じられて、些細な悩みが飛ぶような体験ができる。
大絶滅展に展示されていたステラーダイカイギュウの全身骨格標本(内覧会での納富による撮影)。東京都狛江市から発掘されたもので、大きさに圧倒される。ステラーダイカイギュウの大きなぬいぐるみが作られたのも無理はないと思わせる展示だった「今回の製品でいえば、O-S境界から、カンブリア紀のアノマロカリス、オルドビス紀のエーギロカシス、サカバンバスピス、大絶滅を生き延びてシルル紀にも繁栄した三葉虫、F-F境界からデボン紀のダンクルオステウス、石炭紀のタリーモンスター、P-T境界からペルム紀のディメトロドン、T-J境界からはなくて、K-Pg境界から白亜紀のティラノサウルス、新生代からは海のステラーダイカイギュウと、陸からはシフルヒップス→メソヒップス→メリキップスとウマ科の進化を辿れる『ひっくり返して、またひっくり返すぬいぐるみ(ウマ科3種)』を作りました。ステラーダイカイギュウは、今回、全身骨格標本が展示されるので、全長81cmの『おおきなステラーダイカイギュウ』もあります」と木村さん。
これらを選んだ基準は、まず標本が展示されること、展示の目玉になりそうなもので、知名度があったり、造形が面白くて人気が出そうなものから、ぬいぐるみに出来そうなものということだった。それから、実際にぬいぐるみを製作するメーカーと相談しながら、ラフスケッチを作って、監修の先生、今回だと展示の監修の方々に見てもらうという手順だという。
「アノマロカリスなんかは、売れるだろうなと思って作って、ちゃんと売れているので安心しました。実はステラーダイカイギュウはちょっと不安だったんですけど、意外に売れてくれて嬉しいです。なんとなく、スナメリに似ているので、古生物感がないし、形もシンプルなので売れないかもと思ったりしていました」と木村さん。
なるほど、そういうこともあるのかと思う。例えば、今回製品化されなかったT-J境界のレドンダサウルスは、展示でも大きな骨格標本が飾られていて、中々の迫力だったのだけど「ぬいぐるみにするとワニでしかなくて」と製品化をやめたそうだ。
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