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電子書籍が作れるNRエディターが絶妙なアプデ 開発者に聞く新機能のコンセプトと便利な“使い方”分かりにくいけれど面白いモノたち(5/7 ページ)

» 2026年04月04日 08時14分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 「略称とかで、例えばW3Cみたいな。アルファベットのW、数字の3、アルファベットのCが混在してる時というのは、3だけ回転しても意味がなくて、結局入力し直さなきゃいけないシーンは結構多いというのは、私たちも思っていたんです。ここはやっぱり同じように回転できる方がいいんじゃないかということで、対応の幅を広げてちゃんと不都合なく処理できるような形で改善をしました。ただ、これ、ちょっと卑怯なことをやってるんですよ。数字が横向いてるか縦向いてるかというのは、要は全角なのか半角なのかっていう違いじゃないですか。なので、こういう時は全角で入力してくださいねとか、こういう時は半角で入力してくださいね、というのが本来あるべき案内の仕方です。そして、数字を横に並べたいときは、それは縦中横という見せ方で、半角全角と関係なく全く別のスタイルとして本来あるものなんですよ。だから、別のインタフェースでご案内するのが、本来のあるべき方法なんですが、それを『回転』って言葉で一個にまとめちゃったんです」。

 この木村さんの話が、「電子書籍を作るためのエディタ」としてのNRエディターの基本概念を顕しているように思うのだ。汎用エディタではない、専用で、でもEPUBエディタとしては汎用的に使えるという、意外に、世の中にほとんどない、正に電子書籍作成支援ツール。おかげで、例えば私のこの連載「分かりにくいけれど面白いモノたち」のような、長い文章をスムーズに読んでもらいたいという時などに、さっと、テキストと図版を流し込んで、縦書きで読みやすいように文字を整理して、扉や見出しにスタイルを当てて、あとは必要に応じて表紙を作るという作業だけで、サッと読んで欲しい人に向けてURLを送れる、NRエディター+ロマンサーというサービスは、とても助かる。何せ、広告が表示されないだけでも、読む側としては随分楽なのだし。

 「実は、PDFへの書き出し機能も要望としては沢山あったんです。やっぱり、印刷物として作りたいこともあると思うのですが、今回は載せていないんですね。NRエディターは、あくまでもロマンサーでEPUB変換をするための入り口として作っていて、電子書籍を作るためのエディターという立ち位置を変えたくなかったんです。なので、出力先をPDFにするというのは、少なくとも今の段階ではやらないほうがいいんじゃないかという判断をしたんです」

 NRエディター Ver.2を使っていて感じるのは、電子書籍と紙の本は、存在としては似ているけれど、全く別のもので、「誰かに読んでもらう製品」として作る場合、気にしなければいけない部分がかなり違うということ。なんといっても、電書の場合は「組版」や「面付け」を考えなくていいというのが大きい。その代わり、こちらが見せたいレイアウトでは見せられないことを念頭に、つまり、版面で何かを表現するのではなく、文字列と図版でそれに代わる見せ方を考える必要があるということ。

 この区別がきちんと出来ていないKindle本は、大手の商業出版の本でも見受けられることがある。最近は、それでも、例えば縦長の図版を文章と同じ画面に表示できるように配置するなど、紙の本のレイアウトに近い見せ方をする電書も増えてきたのはいいことなのだけど、それは現状のNRエディターでは出来ない。

画像を読み込むと、このように、一つのページとして読み込まれる。キャプション欄は上下に二つ用意され、枠内に書けば、スマホでも1画面に収まる。なので、左の写真下のキャプションは、スマホだと2ページにまたがって表示される

 「このNRエディターは、画像とテキストは別のページにするという考え方のもとで作られているので、文章と同じ画面に、画面を区切らずに画像を入れるというのは、今できていません。これもスタートからの思想があるんですけれど、説明する文章があって、その画像が出てきて、また文章が続いて、というときに、画像のサイズの問題や、文章の流し方の関係で、見た目がごちゃごちゃっとしてしまうような形の作品になっていることが結構多く見られるんです。そういった場合に、単純にページを区切るだけで見た目がすっきりするし、読みやすい作品になるよね、というケースが多くあったんですね。ただ、どういう時に画面は分けた方がよくて、どういう時に画像と文章が一緒にあった方がいいのかという判断はやっぱりちょっと難しい。その都度、状況によって変わったりもするので、ここは前提として、必ず分けるようにしようっていうことで、Ver.2でも分けるようにしています」と木村さん。

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