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電子書籍が作れるNRエディターが絶妙なアプデ 開発者に聞く新機能のコンセプトと便利な“使い方”分かりにくいけれど面白いモノたち(6/7 ページ)

» 2026年04月04日 08時14分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 確かにこのあたりの判断は難しいところだと思う。そこは、ボイジャーで長年、電子書籍に取り組んできた、会社の創業者でもある萩野正昭さんの助言も参考にして、取捨選択を行っているそうだ。画像のキャプションを図版の上下に入れられるようにしたのも、萩野さんのアイデアだという。

プレビュー機能を使えば、編集段階でも、スマホやPCでどう表示されるかを確認できる。写真はスマホでのプレビュー画面

 「画像のタイトル的な一言と、それに対しての説明と、役割が二つあるパターンがあったりするので、両方入れられるようにしています。見た目も、上に短いテキスト、下に長いテキストというのが、バランスとしてもカッチリしている感じになるので、この形がいいんじゃないかと」と木村さん。

 この画像のキャプション機能にしても、きちんと「ここまでならスマホなどで表示した時に一画面の中に収まるよ」というガイドの罫線が入っている。こういう、操作や機能とは違うところに、電子書籍という特殊なフォーマットの本を作りつづけてきたボイジャーという会社の知見が生きている。

 実際、本を作ろうと考えると、どうしても「ページ」の概念に縛られがちだが、かといって、Webのように、全くページの概念が無いわけではないのが電書の面倒くさいところ。それこそ、1行何文字という固定した表現はなく、使うブラウザによってページ当りの文字数が変わるけれど、画像は1ページとして表示されるといった、いわゆる「リフロー型書籍」という考え方自体、まだそう普及しているわけでもないだろう。その中で、本らしさとデジタルらしさを両立させていくのが、電子書籍作りだったりする。

 「キャプションにしても、出来上がったものを見れば、こういうことか、と分かってもらえるんですが、それを、編集画面の中でどうやったら直感的に分かってもらえるかというのを試行錯誤して、文字数制限をつけようという形になりました」と木村さん。

 実は、私が作った「逆光写真集」という本は、紙版をWordで作って、PDF変換してKDP出版に入稿、Kindle版は、NRエディターで作ってKindle用に書き出して入稿したのだけど、なぜ、こういう形にしたかというと、写真集は、文字と画像を複雑にレイアウトする必要がなく、だったら、NRエディターの方が、遥かに楽にキレイにできると思ったからだ。写真の大きさもあまり気にする必要がない。キャプションも「ここに入力」と枠が用意されているから簡単。奥付だって自動的に作ってくれる。表紙は紙用に作ったものを使えばいい。そうすることで、紙版よりも見やすいものが出来上がった。

Kindle用にNRエディターで作って書き出した「逆光写真集」EPUBファイルのプレビュー画面。これをアップロードすればKDP出版でKindleとして販売可能だ

 一方で、同じく私が作った「鶴屋南北ノヴェライズ・プロジェクト03 盟三五大切」は、1ページの中に、その章のタイトルと、その場面がどういう場所なのかを示す浮世絵、その解説までを一つのページの中で、しかも縦書き横書き混在で見せたかったから、電書版は作らなかった。出すとしてもPDFを直接売ることになると思う。または、そのページをまるごと画像にするかだ。

 ただ、そうすると、そのページのテキストは検索できないことになる。本作りというのは、それが紙にせよ、電書にせよ、「どう見せたいか」を考える作業で、文学フリマなどで売れる本は、やっぱりそこをきちんと考えた「紙の本」ならではの魅力があるものだったりするというのは、私の場合の実感。

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