「とはいっても、扉の表現をしながら下寄せにできないのかとか、あるいは2字下げはできるけど、1字下げにしたい場合はどうすればいいのかとかの、スタイルをもっと細かくカスタマイズした表現をしたいという問い合わせは、結構初期の頃から多くいただいていたんです。こちらとしては扉の機能はオマケ的に考えていたこともあったのですが、『扉を作る』という部分が、ユーザーの方々の表現したいという欲求や想像力に繋がったのかなと思って、そこは実現したいと思っていたんです。ただ、なかなかシンプルな操作というコンセプトの中でどう実現すればいいかが難しくて」と木村さん。
その中で、ロマンサーで公開される作品などを見ていく内に、ユーザーの方々がかなりNRエディターを使いこなしているという手応えを得て、このタイミングならと機能強化に手を付けたのだという。ただ、Wordから機能を抜いていくことで生まれたエディターに、また機能を足していくというのは、やりようでは本末転倒になってしまうし、実際、私もプロのライターとして多くのテキストエディタを使ってきた中で、機能強化が決していい方向に働くとは限らないというか、ほとんどが失敗しているということも知っている。
「実は、要望の多くは、それぞれの方が想像している本のイメージを実現したいというものだと気がついたんです。『こういうレイアウトとか、こういう見せ方があるけど、そういうのは実現できないのか?』というのが多くて、そういう要望を辿れば、『本の姿』に辿り着くんです。なので、今回使えるスタイルを増やしたというのも、これまでの本みたいな電子書籍を、より本らしくするためのものが、ほとんどなんです」と木村さん。
つまり、「色々出来るようになりました」ではなく、ユーザーの考える「本っぽさ」を実現しやすくするためのスタイル設定や、操作、インタフェースの充実というのが、今回のバージョンアップということなのだろう。実際、使っていると、他のエディタやワープロにはない「縦書きの本を作る」ことに特化した、そういう用途じゃないとほぼ不要、みたいな機能があって、それがとても便利だったりする。
例えば、NRエディターには「英数文字の回転」という機能がある。半角文字列を選択して、ボタンを押すと「89年」みたいな書き方の時、89が90度回転して、1文字の中に横並びで89と表示される。これはWordなどにもある機能なのだけど、NRエディターだと、1回ボタンを押すと、「89」と全角文字になって縦に並び、もう1回押すと、89が半角のまま回転して、1文字の中に並ぶ。
もちろん、3文字以上の英単語や数字の列を選択した場合でも、同じ操作で、全角文字に変換してくれる。これ、横書きのテキストをコピペしてから編集したことがあれば分かると思うけど、めちゃくちゃ便利。なぜ、他のエディタでこれをやらないのかと思ったけど、これ、結構、アプリのインタフェース作法としては反則技らしい。
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