コラム
世界を席巻する「GAFA」 Google、Apple、Facebook、Amazonの2018年まとめ:ITはみ出しコラム(3/4 ページ)
昨今は「GAFA」とまとめて呼ばれることも多い、Google、Apple、Facebook、Amazon.com。世界を騒がせたこの4社の2018年を振り返ります。
Facebookーープライバシー軽視? 開始後14年で最悪の年に
Facebookは14年前にマーク・ザッカーバーグCEOが立ち上げた、「世界中の人々をつなげるため」のサービスです。これまで個人情報の扱いで何度も批判され、その度に「ごめん、直す」と言い続けてきました。それでも、今年ほどいろんな問題が連続したのは初めてです。関連する出来事を時系列に並べておきます。
- 3月17日:New York Timesなどがユーザー5000万人が影響を受けたというCambridge Analytica(CA)スキャンダル報道
- 3月20日:Facebookを辞めたWhatsAppの共同創業者などによる#DeleteFacebook運動
- 3月21日:ザッカーバーグCEOがFacebook投稿でCAスキャンダルについて説明(謝罪はなし)
- 3月26日:米連邦取引委員会(FTC)がFacebookを調査中と発表
- 3月26日:ザッカーバーグCEOが日曜朝刊にCAスキャンダルについての署名入り謝罪を掲載
- 3月27日:「電話とSMSの履歴をユーザーに無断で収集」はしていない、その機能はオプトインだから、と説明
- 3月28日:プライバシー設定まわりの改善を発表
- 3月28日:日本政府もCAスキャンダルにコメント
- 4月4日:CAスキャンダル、よく調べたら影響を受けたのは5000万人ではなく8700万人でした、と発表
- 4月4日:「サービス規約」と「データに関するポリシー」を明確化
- 4月10日:ザッカーバーグCEO、米連邦議会上院司法委員会の公聴会で証言。翌日、米連邦議会下院エネルギーおよび商業対策委員会の公聴会でも証言
- 4月18日:CAの元従業員が英議会委員会で、CAが利用したFacebookユーザー情報はFacebookの発表よりさらに多いと証言
- 4月30日:WhatAppのジャン・コウムCEOが退社(Facebookと対立との報道)
- 5月11日:ロシア政府がFacebookやInstagramで選挙介入に使った画像を、米議会が公開
- 5月14日:個人情報不正利用の疑いのあるアプリ約200本を公開停止
- 5月22日:ザッカーバーグCEO、欧州議会でも証言、謝罪
- 5月23日:携帯番号不要な二段階認証機能を追加(後に携帯番号も広告に利用していた疑惑発覚)
- 6月3日:New York Timesがまたデータ共有についてすっぱ抜き(Apple、Microsoft、Samsungとも共有)
- 6月7日:5月に1400万人の非公開設定投稿が公開状態になっていたとCNNが報道
- 6月29日:提出した公聴会の質問への回答書を議会が公開。AppleやAlibabaなどとのユーザーデータ共有が明らかに
- 7月2日:5月末から約1週間、バグでブロックした相手が非ブロック状態に。80万人に影響
- 7月25日:欧州だけだがMAUが前期比減に
- 8月27日:ミャンマーの軍関連アカウントやページを削除
- 9月5日:シェリル・サンドバーグCEOが米上院情報委員会の公聴会で証言、謝罪
- 9月24日:Instagramの共同創業者2人が同時退社
- 9月28日:セキュリティの脆弱性で約5000万人のデータがアクセス可能になっていたと発表
- 10月22日:複数のセキュリティ企業に買収を持ちかけていると報道
- 10月23日:Oculus VRのブレンダン・イリーブCEOが退社
- 11月2日:BBCが、8万件のFacebokアカウントの個人データが盗まれ、売りに出されたと報道
- 11月14日:New York Timesが、大統領選にFacebookが与えた影響について詳細に報道
- 12月5日:英議会がFacebookの社内文書を公開。個人データ販売の検討やライバル攻撃の実態が明るみに
- 12月14日:680万人のユーザーの非公開写真にサードパーティーがアクセスできるバグを9月に見付けていたと発表
- 12月18日:New York Timesが、Netflixなど150社以上が個人データを入手していたと報道
- 12月27日:New York TimesがFacebookのモデレーターマニュアルがいかにずさんかを報道
- 12月28日:ザッカーバーグCEOが「今年の個人目標はよく頑張りました」と自画自賛
だいぶ長くなりましたが、これでもFacebookが少しずつ発表した「これだけのフェイクアカウントを削除しました」のような発表は省いてあります。並べて見ると、いつもまず外部からすっぱ抜かれて、それについて言い訳し、謝罪して対策を発表する、というサイクルであることが分かります。
ザッカーバーグ氏はどんなに謝罪しても、根本では今でも「プライバシーは社会規範ではなくなる」と考えているのではないでしょうか。金もうけのためではなく、「世界をつなげるため」にはプライバシーより成長を優先することが正しいと思っていた(今も思っている?)のかもしれません。
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そこにGoogleのようなDon't be evilが入る余地はなく、価値観に付いていけない人は、買収した企業の創業者たちのように、去って行く。そんな印象の1年でした。
ザッカーバーグ氏はまだ34歳。この最大の苦境をどう切り抜けていくのか、2019年も注目していきたいです。
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