新VAIOは“次世代プロセッサ搭載PCの完成形”を目指す――関取社長ロングインタビュー本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/4 ページ)

» 2014年07月23日 17時30分 公開
[本田雅一,ITmedia]

目標は2015年度に30万〜35万台、その先は?

ソニーストア VAIO株式会社のVAIOは、ソニーストアで購入できる

―― 個人向け製品の販路に関しては、従来と同じソニーマーケティングが運営するソニーストア(Sony Store)と、一部のソニー系ショップに限られます。

 一部量販店でのショップインショップも準備が進められているようですが、今のところソニーファンとの結びつきが強い一方、メーカーをVAIOに絞っていない顧客は新しいVAIOを体験する機会がないようにもみえます。量販店もそうですが、ネット通販でも他のチャネルは使わないのでしょうか?

関取氏 まず、我々には時間がありませんでした。早急に会社を立ち上げねば、7月の営業開始に間に合いません。そこで、VAIOのブランドを理解してくれているうえ、すでに販売システムとしてVAIO向けに開発がされているソニーマーケティングと販売総代理店契約を結びました。

 法人営業に関しても従来からの付き合いなどがあります。簡単には他社に引き継ぐことができませんから、営業面では当面の間、ソニーマーケティングとともにやっていくことになります。

 ただし、新規チャネルの開拓に関しては我々も権利を留保していますから、今の流通から届かないところへと自分たちが商品を入れることも将来は可能になります。ただそのためにも、VAIO事業そのものが安定飛行に入らなければなりません。

―― 「安定飛行」のためには、どのようなことをやらねばならないでしょうか?

関取氏 初年度は、これまでのVAIO事業をしっかり継承することです。ソニーから継承したモデル(VAIO Pro 11/13、VAIO Fit 15E)があるので、これをしっかり販売し、サポートできることを示します。

 2番目のステージとしては、VAIO株式会社オリジナルの全力投球したモデルを出す。安曇野生産となる新モデルを、今あるODMやJDMで生産する製品ラインアップの上に載せて、どこまで評価されるのかが1つの鍵でしょう。ここで、いわゆる「VAIOらしさ」を出せると確信しています。

 そして3年ぐらいで、その価値を認められるようになり、会社としての安定飛行に入りたいです。しかし、PCだけでいいのか? という話はもちろんありますね。

VAIO Tap 11 VAIOブランドとして初めてのWindows 8世代タブレット「VAIO Tap 11」。2013年11月にソニーから発売された。VAIO株式会社には引き継がれなかったモデルだが、こうしたタブレット型のVAIOも今後はあり得るのだろうか?

―― それはタブレット端末を作るという意味でしょうか? それとも関連する周辺デバイスを作るという意味ですか?

関取氏 〜コンピュータなどではなく、シンプルに「VAIO」という名前の会社にしたのは、何か特別なカテゴリにとらわれないことを示したかったからです。つまり、PCに限らず、いろいろな製品をVAIOブランドで手がけていきたいですね。ただし、「できる範囲で」です。実際には開発リソースが限られていますから、オリジナルの商品開発は難しい面もあります。

 しかし、PCやタブレット、スマートフォンを使っていて、「あ、これは不便だな」とか「こういうものがあれば、もっと便利に使える」――そんなアイデアはたくさんあると思います。デジタル小物といいますか、デジタルライフを豊かにするために、VAIOブランドでできることは色々あるのでは? と考えています。

―― その結果として、来年度(2015年度)には30万〜35万台の出荷を目指すとのことですが、これは昨年度の国内での販売実績の半分くらいですね。半分とはいえ、モデル数もかなり減っていますから、ハードルとしては決して低くないように思います。さらにそこからの成長というと、どのようなビジョンを描いているのでしょう?

関取氏 35万台という目標に関しては、自分たちができることをしっかりやっていけば、十分に達成できると考えています。世の中ではタブレット端末への注目が集まっていますが、個人向けPC市場が落ち込んでいるかといえば、実は台数的には下がっていません。目標が高すぎるということはないと思います。

 ただし、35万台からさらに積み上げていくには、別のチャレンジも必要ですね。1つは前述したPC以外のデジタルデバイスへの取り組みというアプローチがあります。あとは海外での販売も考えていきたい。さまざまな選択肢、構想はありますが、そのためにもこれからの3年計画をしっかりとやり切らねばなりません。

―― 純粋によい製品を作りたいエンジニアが残ってくれたとのことですが、エンジニアのポートフォリオはソニー時代と大きくは変化していないのでしょうか?

関取氏 はい、ほとんど変わっていません。バンドル用ソフトウェアの開発などは独自開発を減らすため人数が減っていますが、ハードウェアの開発に関しては変わりありません。また、よりよい商品作りという意味では、VAIOの総力を発揮するという意味でも、商品企画担当だけで次世代商品を練るのではなく、「賢人会」とも言うべき組織を作りたいと思っています。

 商品企画担当が商品すべての企画アイデアを出してまとめるのではなく、PCを使うことに対していろいろな意見がある人間をネットワークし、よりよい製品作りの参考にするという考え方です。

 例えば、ハードウェア設計とはまったく関係ない人間からは、それまでのハードウェアの概念、枠組みとは異なる斬新なアイデアが出てきやすいものです。そうしたアイデアを斬って捨てるのではなく、みんなで共有しながら話を盛り上げていきたい。

 PCか? タブレットか? などの議論もありますが、そうした枠組みを取り払って未来のパーソナルコンピュータを議論し、作り上げていく。そうした取り組みを重ねることで、新しいPCを生み出せると思います。

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