「第3の選択肢」から「三つ巴の戦い」へ――インクジェットプリンタ「PRIVIO」新モデル発表会:ここまできたか

» 2014年08月29日 00時00分 公開
[ITmedia]

ブラザーのインクジェットプリンタがシェアを拡大

 ブラザー販売は8月28日、インクジェットプリンタ「PRIVIO」シリーズの新ラインアップを発表した。同日実施した発表会では、新製品の概要や販売戦略について語られたほか、CMに起用された中村勘九郎さんと中村七之助さんによるトークセッションも行われている。

「PRIVIO」シリーズ11モデル17機種を一挙投入

 発表会の冒頭に登壇したブラザー販売の片山社長は、2013年度のインクジェットプリンタ市場を振り返り、3月に増税前の駆け込み需要はあったものの、それまでの落ち込みが影響して、前年比で97%と市場全体ではマイナス成長だったと述べる一方、「市場が厳しい状況にあるなか、ブラザーの出荷台数は前年比118%と大きく数字を伸ばし、商戦期の12月には初の2ケタシェアを獲得した」と好調ぶりをアピール。続けて、同社の強みであるコストパフォーマンスの高さを維持しつつ、新モデルでは「プリンタの本質である写真画質の向上に取り組んだ」と自信を見せた。

 「これまで(インクジェットプリンタにおける)『第3の選択肢』を目指してきたが、これからは三つ巴の戦いへ移行し、市場をさらに活性化させていきたい」と片山氏。今回投入するPRIVIOシリーズで、年間75万台、15%シェアを目指す。

ブラザー販売代表取締役社長の片山俊介氏。「取り扱い店舗も増え、ブラザーが選択肢になっていると日々実感している」と述べ、インクジェットプリンタ市場における存在感の高さをアピール(写真=左)。ブラザーは商戦期の2013年12月に大きくシェアを伸ばし、マイナス成長だった中で、前年比20%近く成長している(写真=右)

もともとファックス機能付きプリンタとして差別化を図ってきたブラザーだったが、2011年にインクジェットプリンタ市場へ本格参入。コストパフォーマンスの高さを背景にシェアを拡大しつつある(写真=左)。2014年はエプソンやキヤノンと本格的にシェアを競っていく構えだ(写真=右)

新開発の「技ありインク」で写真画質を向上

 PRIVIOシリーズ新モデルの概要説明は、ブラザー販売取締役の三島氏が担当した。ポイントは大きく分けて2つ。まず1つが「技ありインク」の採用だ。同社の製品は、3色(C・Y・M)の染料系インクと、テキストの印字に適した顔料系インク(K)の組み合わせを用いてきたが、「色が薄い」「メリハリがない」といったユーザーの声もあった。そこで独自開発の技ありインクで暗部の表現を強化。色再現領域を約13%拡大し、黒がより黒く見える写真印刷を可能にした。

 さらに空や人の肌、髪の毛などの画像サンプルを分析することで、空はより青く、肌は自然に、髪の毛はくっきりと黒く見せるようプリンタ側が自動調整する機能も搭載した。これまで写真印刷では、6色インクシステムを採用する他社製品と比べて劣る印象があったが、こうした改良によって、高いコストパフォーマンスを維持しながら、写真画質を向上したという。

4色インクシステムで高コストパフォーマンスを実現しているのがブラザーの強み。しかしその一方で、暗部の色再現性が弱いというという課題があった

そこでプリビオネオシリーズには、新たに独自開発した「技ありインク」を採用。暗部に向かって色の再現性を約13%拡大した。このほか、大量の画像サンプルを分析した結果から、より印象的な写真になるように自動調整する機能も加わっている

新型インクを採用したネオシリーズ「DCP-J4220N」(手前)と「MFC-J4720N」(奥)。いわゆる「記憶色」に味付けする自動調整機能も搭載し、空はより青く鮮やかになる

スマホで年賀状を作成して簡単に印刷できる「Brother 年賀状プリント」

スマホやタブレットで簡単に年賀状を作成できる「Brother 年賀状プリント 2015」

 2つ目のポイントは年賀状作成機能の強化だ。プリンタの購入動機として挙げられる年賀状作成に対し、同社はこれまで年賀状ソフトへの対応や、はがき両面印刷/フチなし印刷といった機能で応えてきたが、新たにiOS/Android向け年賀状作成アプリ「Brother 年賀状プリント」を提供する。同アプリでは、テンプレートとデバイス内の写真を選択するだけの簡単なステップで、PCを使わずに年賀状を作成できるのが特徴。180種類以上の豊富なデザインテンプレートから手軽にオリジナル年賀状を作成できる。

 また、デバイス内のアドレス帳から年賀状の宛名をプリントできる「簡単宛名作成」機能や、スマホで作成した年賀状およびスキャンした年賀状をデバイス内に保存してアルバム化する「年賀状アルバム」機能も用意されている。

 なお、年賀状作成機能の強化に合わせて、ルーターなしでもスマホとプリンタを接続できるWi-Fi Directモデルを従来の3モデルから7モデルに拡充したほか、はがき50枚をセットできる多目的トレイを備え、前面用紙トレイとあわせて80枚の大量印刷に対応したのも目を引く。このほか細かいところでは、NFCを使ってスマホでタッチするだけでプリントとスキャンが行える「タッチ de プリント&スキャン」対応機種が2モデルから4モデルに拡充された。

180種類以上の豊富なテンプレートを用意。スキャンした画像をテンプレートにすることもできる

あとはカメラロールから写真を選択すれば年賀状が完成。PCを経由せず、そのまま直接年賀状印刷が行える

 新PRIVIOシリーズのイメージキャラクターには、歌舞伎俳優の中村勘九郎さんと中村七之助さんを起用し、8月30日からテレビCMが放送される。歌舞伎の伝統を守りながら新しい取り組みに挑戦する中村兄弟の姿勢が、創業100年の歴史を持ちながら常に新しい商品やサービスを創出してきたブラザーに通じるものがある、というのがその理由だ。もちろん、ブラザーと(中村)兄弟をかけており、テレビCMでは勘九郎さんが「こちらが自慢のブラザーです」とPRIVIOを紹介するはずが弟を紹介してしまうというネタにも使われている。中村兄弟によるトークセッションでは、両氏が歌舞伎の写真サンプルを眺めてPRIVIOの画質の鮮やかさを称賛する場面もあった。

発表会でトークセッションを行った歌舞伎俳優の中村七之助さん(左)と中村勘九郎さん(右)。8月30日から放送されるテレビCM。「ブラザー」という単語が30秒間に9回出てくるらしい

 なお、各モデルの実売価格や発売日は「ブラザー、写真画質を向上したインクジェット機「PRIVIO」新モデル」を参照してほしい。

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