「体温で色変化」「服を着て充電」ファッション×テクノロジーの最前線

» 2016年04月14日 06時00分 公開
[橋本沙織ITmedia]

 近年、国内外のファッション業界で作品や製品にテクノロジーを取り入れていく機運が高まっている。最新の状況を、特に目を引く事例を通じてご紹介したい。

染料のテクノロジー高度化でデザインが多様化

NEEFAによる「Chameleon Mood Scarf」 着る人によってパターンが変化する

 オランダのテキスタイルデザイン会社・NEFFAが開発した「Chameleon Mood Scarf」(カメレオンムードスカーフ)は、着用する人の体温、いる場所の明るさや紫外線の量によって、そのデザインをまるでカメレオンのように変化させるスカーフだ。

 黒のパターン(柄)は体温が上昇すると消え、紫外線に反応してオレンジ色のパターンが浮かび上がる。また、暗い場所では青緑に発光する。この仕掛けは、染色に使うインクの種類の違いによって実現されている。

充電可能、ガジェット化する衣服

 オランダのファッションデザイナー・Pauline van Dongen氏が昨年(2015年)のコレクションで発表したのは、「電子機器を充電できる衣服」。120個の薄い小型ソーラーパネルが縫い付けられたTシャツで、同国の独立系研究開発機関とタッグを組んで開発したもの。ソーラーパネル自体がTシャツのデザインの一部になっている。

Pauline van Dongen氏のコレクション「Wearable Solar Shirt」。電子機器を日光下で充電できる

 これを着て日光の下にいれば、スマホやカメラ、その他USBの付いた電子機器を充電できる。また、ポケットに収納可能な別売りのバッテリーに蓄電しておくこともできる。洗濯も可能だ。

Twitterと連携、コミュニケーションするドレス

 ロンドン発のブランド・CUTECIRCUITは今年、イギリスの航空会社にユニフォームを提供した。ユニフォームには多数のLEDが搭載されており、フライトの詳細を表示し、緊急時には非常灯としても使用され、乗客とのコミュニケーションの円滑性や安全性の向上が期待される。

 同ブランドは2012年に、胸元が2000個のスワロフスキーで美しく装飾された、床まで届くロング丈のドレスを発表していた。

 一番の目玉は、1万個のマイクロLEDが縫いつけられており、モデルがファッションショーのレッドカーペット上にいる間「#tweetthedress」のハッシュタグがついた主に観客たちによるツイートを、美しい光のアニメーションと共にリアルタイムで表示させる点。

「#tweetthedress」のハッシュタグでツイートすると、ドレス上に文字が表示されるドレス

 Twitterでハッシュタグ「#tweetthedress」を検索すると、「Hello!」や「Amazing」など、Twitterユーザーによる感想で溢れている。モデルが着ているドレス上に自分のツイートが流れるのは、ブランドのファンにとっては素晴らしいコミュニケーションに違いない。

洋服をダウンロードする時代、ナイキも

 世界で初めて3Dプリンタで印刷された素材で作られたオートクチュールを発表したのは、ドイツのデザイナー・Iris van Herpen氏。これは2010年のこと。それから時を経て、大手ブランドも3Dプリンタの活用に乗り出している。

 スポーツブランドのナイキは、スニーカーの製造工程に3Dプリンタを取り入れることで生産効率を上げ、さらにカスタマイズ性を向上させた。COOのEric Sprunk氏は2015年に開催されたカンファレンス「GeekWire Summit」において、今後の3Dプリンタの可能性を「消費者にスニーカーのデザイン(データファイル)を提供し、家庭用の3Dプリンタや店舗で出力してもらえる未来もそう遠くはない」と語っている。

 このように、ファッションとテクノロジーの垣根は取り払われてきている。少し前まで、もしくは今でも、「良いものは手作り」「大量生産品は粗悪」という風潮があるが、境界線が薄れたことで、それも変わりつつあるのかもしれない。

 実験的な側面が強いのは否めないが、引き続き注視したい。音楽をダウンロードするようになったのと同様に、衣服もダウンロードする時代が来るかもしれない。

ライター

執筆:橋本沙織、編集:岡徳之(Livit Tokyo)

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