「テザリング? 何それ?」──「Pocket WiFi S」をあくまで“Pocket WiFiの新型”とするイー・モバイルの狙い:じつはSIMロックフリーでもある(2/2 ページ)
イー・モバイルが、“通話もできる”Pocket WiFiの進化版「Pocket WiFi S」を発表。中身はAndroid 2.2搭載のスマートフォンだが、女性や若年層に好評だったPocket WiFiのブランドを用いた「(あくまで)データ通信端末」として展開するのはなぜか。
完全な「SIMロックフリー」端末でもある
ポータブル無線LANルータ(テザリング:3G回線を無線LANで共有できる機能)としての機能は、Android 2.2標準のテザリング機能を利用し、最大5台までの機器を接続可能と、従来のPocket WiFiと同じ。オリジナルのウィジェットを用意し、タッチ操作だけでテザリング機能をより容易に制御できるようにした。バッテリー動作時間は連続通信が最大4時間、連続待受時間が最大240時間で、Pocket WiFiと比べて連続待受時間が約2.4倍(Pocket WiFiは最大100時間)に伸びた。
連続待受時間の強化については、スマートフォンとして使う以外に、スリープしながら運用することで起動時間(実際にテザリング機能が使えるようになるまでの時間)もPocket WiFiより短縮できるメリットを強く訴求する。「既存ユーザーにおいては、連続通信時間より連続待受時間が延びることを望む声が多かった。最大240時間持てば、テザリング機能はそれこそオンのままでもすぐバッテリーが切れてしまうことはなく、同じく使いたいときにさっと使いたいiPadや携帯ゲーム機などの無線LAN搭載機器と組み合わせて使うシーンにも適する」(ガン社長)
価格も挑戦的だ。一括購入のベーシックプラン利用時で1万9800円/月額4280円、2年契約のシンプルにねんアシスト400利用時で頭金240円/月額4980円。データプランにねんM(データ通信端末専用プラン)を利用した従来のPocket WiFi購入価格となる頭金5980円/月額4980円より安価で、かつAndroid 2.2搭載スマートフォンとしても2010年12月現在、最安値クラスと思われる。価格帯でも「通話など“も”できるのに安価ですよ」とこれからPocket WiFiを望む層に訴求してさらなる契約者増を図るとするなら、この安価さは大きなポイントになりそうだ。
ちなみに、Pocket WiFi Sは完全な「SIMロックフリー端末」だ。国内のイー・モバイル3G通信で用いる1700MHz帯以外に2100MHz帯にも対応するので、W-CDMA方式を採用する国内他キャリア(NTTドコモとソフトバンクモバイル、およびそのMVNO)契約のSIMカードも、APN設定を行うことで利用できるのがかなり新しいポイントでもある。GSM 850M/900M/1800M/1900MHz帯にも対応し、利用可能な周波数帯を使用する海外キャリアのSIMカードを海外で入手して使うことも可能である(これは従来のPocket WiFiでも利用できたが)。
Pocket WiFi Sのライバル機の1つとなるSIMロックフリーのポータブル無線LANルータには、例えば日本通信「b-mobile WiFi」(単体購入価格は1万9800円)が存在する。端末価格は同等、月額利用料金は日本通信(b-mobile WiFi月々払いプラン利用時で月額2980円)、最大通信速度はエリアにもよるがPocket WiFi S(下り最大7.2Mbps)、サービスエリアは日本通信(ドコモのFOMA網を利用)、端末としての機能の多さは圧倒的にPocket WiFi Sというところ。今後、新生活需要などにてポータブル無線LANルータ機器の導入を計画する人は、どれを選べばよいか悩ましい選択肢がまた1つ増えることになる。
NTTドコモが2011年4月以降にSIMロック解除する機能を導入する意向を示すなど、2011年はSIMロックの是非、およびSIMロックフリー端末に関わる話題がさらに熱く議論されると思われる。ともあれPocket WiFi Sにより、PCおよび無線LAN搭載機器で利用する「データ通信」の利用シーンがより自由に、さらに広くなる可能性を秘めているといえそうだ。
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