ARM版Windows 8は1年後の世界に期待する:BUILD(3/3 ページ)
Windows 8で注目されながら情報がほとんど公開されないARM対応。その“分厚い”のカーテンの向こう側に注目しつつ、新しいランタイム環境「WinRT」を解説する。
ARM版 Windows 8は、WinRTが前提になる予感
問題は、この領域におけるARMの扱いだ。Visual Studio 11などの開発ツールでは、ARMバイナリの出力が可能で、Windows 8のアプリストアである「Windows Store」では各プラットフォーム版のバイナリが単独で登録できるようだ。シノフスキー氏も、ARM/x86/x64(64ビット)のそれぞれに対応するアプリケーションが、Windows Store上でばらばらに販売することを示唆している。
この販売形態なら、x86版向けに提供されるゲームやアプリケーションがある一方で、同じものがARM版には提供されない可能性がある。開発や検証、実際のリリースまで、各プラットフォームの対応はアプリケーションを提供するサードパーティの裁量に委ねられられる。
また、Windows 8世代ではDirectX 11.1がベースとなる予定で、当然ながらWindows 8に対応するARMのリファレンスモデルでもDirectX 11.1対応が求められることになる。例えば、ARMが2011年後半にリリースを計画している“Mali-T604”というグラフィックスコアはDirectX 11に対応するが、最終的にはDirectX 11.1対応になると思われる。
Mali-T604は、2012年後半から2013年前半に搭載製品が登場するといわれる“ARM Cortex-A15”世代をターゲットとしており、MicrosoftのWindows 8リリースのロードマップにほぼ合致する。ARM版Windows 8でも本格的なゲームプラットフォームとして稼働できるだけのパフォーマンスを実現することを期待しているのだろう。
もう1つ気になるのがPC版をベースにした“レガシーアプリケーション”の扱いだ。これについてARM版サポートがどうなるのかに言及した発言は、今のところBUILDで聞くことはできなかった。ただ、ゲーム関係のセッションで解説を行っていた人物によれば、「WinRT上で開発することで、x86とARMの両プラットフォームをターゲットにできる」とコメントしている。この発言は、ARM版アプリケーションの実行がWinRTがメインターゲットになることを示している。
x86とARMのそれぞれの環境で動作するバイトコード(コンピュータが実行できる命令形式)が共通とは思わないが、ARM搭載デバイスをターゲットにした開発を行う場合、少なくとも、Win32や.NETといったプラットフォームでのプログラミングは推奨されないようだ。
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