快適さを保ちながらピーク電力を20%以上削減、自社開発の電力管理システムを導入エネルギー管理(2/2 ページ)

» 2012年04月27日 21時42分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]
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スマートコンセントも使ってデータを収集

 同社は、2011年夏に自社で実施した節電活動についてのアンケート結果を基に、快適さを損なうことなく節電する方法を開発したという。その方法は、おおまかに説明すると以下の通りだ。

 システムコントローラは毎日、外部のサーバから天気予報、気温などのデータを取り込み、過去の電力需要データも参考にして、空調機器にかかる負荷を予測する。

 ユーザーは電力消費量を抑えたい時間帯、つまりピーク時間帯と、節電量を設定する。システムコントローラは電力消費量を常時計測し、ユーザーが設定した節電量を達成できるように機器を制御する。空調機器なら、設定温度の調整や省エネ運転モードへの切り替え、照明なら光の強弱の制御(調光)で電力消費量を調整する。

 コンセントにつながった機器の電力消費量計測には、コンセントが流す電力量を計測する機能を持つ「スマートコンセント」を利用する。スマートコンセントは計測した消費電力量のデータをシステムコントローラに送信する機能と、システムコントローラからの指示に応じて電力供給を止める機能を持つ。

 スマートコンセントにつなぐ機器にはあらかじめ優先順位を付けておき、システムコントローラからの指示を受けたら、優先順位が低いところから電力供給を切っていく。

センサーからのデータを見て無駄を探す

 システムコントローラは、温度や照度も考慮して機器を制御する。システム導入時には、オフィス内に多数の温度センサーと照度センサーを取り付け、センサーが感知した環境データもシステムコントローラに送るようにするのだ。

 空調を制御するときは、温度が必要以上に下がっているところなど、設定温度を変更しても問題ないところから機器を制御していく。このように無駄に電力を消費している部分を検知して、機器を制御することにより、快適さを維持したままの節電を可能にしている。

 以上のようにピーク時の電力消費量を削減する「デマンドレスポンスモード」のほかに、「省エネ節電モード」という運転方法もある。このモードではピーク時を狙って消費電力量を削減しようとはせず、空調や照明の無駄遣いを常時検知して細かく制御することで、時間帯にかかわらず電力消費量を削減する(図3)。

Overview 図3 デマンドレスポンスモードと省エネ節電モードの違いを表した図

 鹿島建設は、鹿島赤坂別館に導入したシステムの運用を続けながら、データを収集し、システムの改良を続けている。今後は同社の施設への導入を進めるほか、外部への販売も視野に入れている。すでに、複数の企業との商談が始まっているという。

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