「節電7か条」を東京都が提案、事業所と家庭に向けた有効策にエネルギー管理

東京都は昨年夏に企業や家庭で実施された節電の実例をもとに、基本方針とすべき「3原則」と具体的な対策を「7か条」にまとめた。有効な対策に加えて効果の低い対策についても指摘しており、全国の企業や家庭に参考になる内容だ。

» 2012年05月15日 21時40分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 東京都の環境局は夏の節電を広く企業や家庭に求める狙いで、「東京都省エネ・エネルギーマネジメント推進方針」を発表した。昨年夏に都内の事業所や家庭に対して実施した節電のアドバイスをもとに、実効性のある節電対策をまとめている。

 まず基本原則として3つのポイントを掲げた(図1)。特に注目すべきは3番目の原則で、経済活動や快適性を損ねる無理な節電対策を避けるようにすすめている。具体的には、工場の操業日や操業時間の変更、ピークカットの効果が低いエレベータやエスカレータの使用停止などである。

ALT 図1 東京都環境局による「賢い節電3原則」。出典:東京都環境局

 このような実効性を重視した節電対策が事業所向けと家庭向けで「7か条」にまとめられている(図2、図3)。事業所向けの対策としては、照明機器の照度を500ルクス以下に抑えることをはじめとして、デマンドコントローラやBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を使ったピークカットの実施などを推奨している。

ALT 図2 事業所向けの「賢い節電7か条」。出典:東京都環境局
ALT 図3 家庭向けの「賢い節電7か条」。出典:東京都環境局

 東京都環境局は昨年の夏に事業所向けで約600件、家庭向けで約33万件にのぼる節電のアドバイスを実施した。その効果もあって、東京電力管内のピーク電力は直前の2010年夏と比べて約1000万kWも減少したと説明している。比率にして18%のピークカットになり、計画停電を回避することができたという。

 昨年の経験をもとに、同環境局は今年の夏の見通しについても詳しく分析している。猛暑だった2010年並みの暑さを想定しても、着実な節電対策によって10%の電力使用量を削減できれば、東京電力の供給量を超える可能性があるのは、わずか1日のうちの1時間だけと予測している。しかも西日本への融通分(最大103.5万kW)や予備率(電力需要見込の3%)を考慮したうえでの推定値である。

 全国の企業や家庭が「賢い節電」を実施すれば、計画停電を避けられる可能性が高まる。

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