企業が自家発電設備などで作り出した電力を売り買いできる市場の開設が決まった。国内で電力の卸売市場を運営する一般社団法人「日本卸電力取引所」の中で新たに「分散型・グリーン売買市場」が6月18日からスタートする。
夏の電力需給問題を解消する対策の一つとして、経済産業省は少量の電力でも売買できる新しい市場を6月18日に開設する。沖縄を除く9つの電力会社や東京ガスなどで構成する一般社団法人「日本卸電力取引所」の取引範囲を拡大して、一般企業が入札方式によって電力を自由に売り買いできるようにする計画だ。
新市場は「分散型・グリーン売買市場」という名称で、売買できる電力の種類や量に制限はない。売買の対象として想定しているのは、企業が太陽光発電やガスコージェネレーションシステムなどによって自家発電した電力である。
取引の方法は「掲示板取引」を使う(図1)。電力を売りたい企業は、あらかじめ取引所の会員として登録したうえで、売りたい電力の量や時間帯、希望価格を取引所に電話かメールで伝える。その情報を取引所がウェブサイトに掲示して入札を募り、売り手は最も条件の良い入札者に電力を販売する流れである(図2)。入札できる買い手も取引所の会員として登録する必要がある。
これまで日本卸電力取引所は翌日の電力を30分単位で売買する「スポット取引」などを実施してきた。この取引に参加するためには約160万円の入会金を支払って会員になる必要があるが、今回新設される「分散型・グリーン売買市場」では入会金は不要である。
実際に電力を売るにあたっては、取引所の担当者が電話で相談に乗りながら売買条件を設定できるようにするという。一般企業が気軽に電力を売れる仕組みを用意することで、小口の電力を数多く集めて電力需給問題の解消につなげる狙いである。
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