夏を前に電気自動車をめぐる動きが激しくなってきた。ホンダが今夏から日本と米国で販売を開始する「フィットEV」の性能が米国環境保護庁(EPA)から発表され、先行する日産自動車の「リーフ」や三菱自動車の「i-MiEV」よりも電力消費の効率で高い評価を得た。
2012年は、まさに「EV(電気自動車)元年」になることは確実だ。先行する三菱自動車の「i-MiEV」、日産自動車の「リーフ」に続いて、いよいよホンダが「フィットEV」(図1)を市場に投入する。7月中にも国内で販売を開始する予定で、ホンダが力を入れているスマートホームとEVの連携も一気に加速しそうだ。
国内の発売を目前に、米国でフィットEVに対する性能評価が環境保護庁(EPA)から発表された。同様にEPAがリーフやi-MiEVを評価した結果と比べると、ガソリン車の燃費に相当する“電費”の面でフィットEVが上回っている(図2)。
“電費”を見るうえで指標は2つある。1つはガソリン車の燃費と比較するためのMPGe(1ガロンのガソリンと等価な電力で走行できるマイル数)という指標で、フィットEVは118MPGeを記録して、i-MiEVを6ポイント、リーフを19ポイントも引き離した。リーフと比べると“電費”が約2割良い、という結果になる。118MPGeという数値は日本におけるガソリン車の燃費に換算すると約50キロメートル/リットルに相当する。
もう1つの指標はバッテリーに蓄えた電力の消費効率である。北米では100マイル(約160キロメートル)あたりの電力消費量を指標にしており、数値が小さいほど電力消費量が少なくて済む。フィットEVは29kWh/100マイルで、i-MiEVよりも1kWh、リーフと比べると5kWhの電力を100マイルごとに節約できる計算だ。
このほかにフィットEVは充電時間の短さも特徴である。通常の電源を使った普通充電の場合で、バッテリーの残量警告灯が点灯した状態から満充電までにかかる時間は、米国の標準電圧240Vだと3時間以内で済む。日本の標準電圧200Vでは充電時間が少し長くかかるが、それでもi-MiEVの7時間やリーフの8時間よりは大幅に短くなるだろう。
一方で自動車メーカー各社は電気自動車と住宅の電力供給ネットワークを連携させる「Vehicle to Home」(V2H)にも力を入れている。日産や三菱に続いて、トヨタ自動車がプラグインハイブリッド車の「プリウスPHV」を使ったV2Hの実証実験を年内に愛知県豊田市で開始する。
ホンダも4月に埼玉県さいたま市にスマートホームの実験設備を建設して、自社開発の太陽光発電システムやEV用の「充電アーム」などを使った実験を進めている。フィットEVの発売後には、この設備を利用してV2Hにも着手する計画だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.