節電のためにLED照明の導入機運が高まる中、製品の購入に注意を要することが明らかになった。消費者庁が6月14日、電球型LEDランプを販売する12社の54製品について、白熱電球と比べた明るさが不足しているとして、景品表示法に違反していることを公表した。
前日の6月13日に経済産業省が白熱電球からLED照明などへの切り替えを促進する方針を発表した矢先に、消費者庁からLED電球に対する警告が出された。LED電球の商品パッケージや販売するウェブサイトにおいて、白熱電球に相当する明るさを表示しているにもかかわらず、十分な明るさが得られないことが認められた、というのが理由である。
この問題で消費者庁から措置命令を受けたのは12社で、大手のメーカーは含まれていない。12社は次の通り。
アガスタ、エコリカ、エディオン、オーム電機、グリーンハウス、恵安、光波、コーナン商事、スリー・アールシステム、セントレードM.E.、タキオン、リーダーメディアテクノ(以上、50音順)
この12社は販売したLED電球が景品表示法(正式名称「不当景品類及び不当表示防止法」)に違反していたことを消費者に周知徹底させる措置を講ずるように命令を受けた。
消費者庁が景表法違反と認定した商品パッケージは、白熱電球の「60W形相当」などと表記していながら(図1)、同庁と公正取引委員会による合同調査により、実際の明るさが足りないことが判明したものだ。ウェブサイトで販売されたものを含めて、12社の54製品で明るさが不足していた。
このうち明るさが最も低い製品は、60W形相当にもかかわらず明るさが250ルーメンしかなく、部屋全体を照らす全体照明として使った場合には、60W形の白熱電球と比べて30%の明るさしか得られないという。消費者庁が公表したデータによると、54製品のうち24製品で明るさが基準値の50%未満だった。最も高い製品でも86.6%である。
LED電球は白熱電球と比べて光が広がりにくいため、特に全体照明に使う場合には光源から放射される光の総量(全光束)が十分に大きいものを選ぶ必要がある。日本電球工業会は全体照明と部分照明の2つの用途に対して、白熱電球、電球型蛍光ランプ、LED電球(E26口金とE17口金の2種類)の比較値を示している(図2)。消費者庁が基準にしたのも、この比較値である。
景表法違反と認定された54製品だが、いずれも2011年まで出荷あるいは表示されていたもので、すでに一般には出回っていないと考えられる。経済産業省が白熱電球からLED照明などの省エネ型への切り替えを促進する方針を発表したことを受けて、これに便乗する形で不当表示の商品が市場に出回らないようにするための措置とみられる。
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