今夏4か月で23%節電、関西電力管内の長浜市エネルギー管理

10%の節電が求められた関西電力の管内で、高い目標に取り組んだ自治体がある。滋賀県の長浜市で、市庁舎の電力使用量を2010年比で20%削減する目標を立て、実際に23%の削減に成功した。空調や会議室の使用時間帯を厳しく制限するなど、徹底した対策を実行した結果である。

» 2012年10月23日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 長浜市は2011年にも市庁舎の節電に取り組んでおり、6月〜9月の電力使用量を2010年比で約15%削減していた。さらに今年は関西電力による節電要請もあり、目標を20%に引き上げ、新たな節電対策を加えた結果、市役所など9か所の施設の合計で4か月間に23.1%の電力使用量を削減することができた(図1)。特に7月は30.4%の大幅な削減量を記録した。

図1 市庁舎施設9か所の電力使用量の実績。出典:長浜市役所

 注目すべきは、通常のオフィスで実施している夏の節電対策よりも厳しい内容を今夏から実行したことだ。照明に関しては、晴天時に照度が300ルクスを確保できる場合には昼のピークタイムである12時〜15時に消灯する。合わせて会議を午前中に集中させて、昼間や夜間に会議室の利用を控えるように徹底した。

 空調も同様に冷房の運転時間を制限して原則16時45分までと決め、各部門の節電推進員が照明を含めてオン/オフを管理するようにした。ただし室温などをチェックしながら不快指数を考慮して運転状況を判断するとともに、適切な換気により熱中症の予防策を講じている。

 このほか従来は毎週水曜日を「ノー残業デー」にしていたが、今夏は8月を「ノー残業マンス」、7月と9月は「ノー残業ウイーク」を設定して、業務時間が終了した後の電力使用量を最小限に抑えた。

 以上のような対策の積み重ねによって、6月〜9月の4か月間で電力使用量を2010年比で27万kWh、2011年比でも約10万kWh削減することができた。かりに電気料金が1kWhあたり10円とすれば、4か月間で100万〜270万円も削減できたことになる。

 実は長浜市は関西電力などの原子力発電所が数多く立地する福井県の若狭湾から近距離にあり、市民が発電所の再稼働に神経をとがらせている。来夏以降も市役所をはじめ市全体で積極的な節電に取り組めば、原子力発電所の再稼働を抑制する動きにもつながっていく。

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