関電管内で一昨年比33.6%の節電に成功、蓄電池を利用したピークシフトも奏功エネルギー管理

今夏は、関西電力で一昨年比10%など、厳しい目標を立てざるを得なかった地域もあった。大和ハウス工業は政府による節電目標をさらに上回る目標を立てて節電に取り組んだ結果、大きな成果を上げることができた。

» 2012年09月24日 11時15分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 大和ハウス工業は、今夏取り組んだ節電の効果を明らかにした。全国にあるすべての事業所を合計すると、一昨年比21.1%の節電に成功した。特に、政府が一昨年比10%減という目標を立てた関西電力管内では、一昨年比33.6%という大きな節電効果を上げた(図1)。

図1 各電力会社管内における政府による節電目標値と大和ハウス工業が立てた節電目標値と節電実績。値はすべて一昨年比

 オフィスにおいては、天井照明を間引き、従業員に約1万2000台のLEDタスクスタンドを配布した。執務室内は暗くなるが、手元の作業する部分の明るさをタスクライトで確保するタスク・アンビエント照明とした。さらに、自然光を利用できる日中は、極力照明を消灯した。

 ほかにも、昨年も実施していたクールビズの開始時期を1カ月早め、5月1日からとしたり、空調機器の設定温度を28℃とし、消費電力量を見える化したことで、全国の事務所では合計で32.4%の節電に成功した(数字は一昨年比、以下同様)。関西電力管内では37.3%まで節電できたという。

 大規模なピークシフトにも取り組んだ、全国の約200の事業所に蓄電容量が2kWhのリチウムイオン蓄電池を合計1000台導入し、電力需要がピークを迎える13時から18時までは蓄電池に蓄えた電力で、パソコンを利用した。タスク・アンビエント照明で利用したタスクライトの電力も蓄電池から得るようにした。蓄電容量2kWhの蓄電池を1000台利用したので、最大で2MWh分のピークシフト効果があったということになる。蓄電池を利用したピークシフトに取り組んだ結果、ピーク時の電力消費量を5%削減できたとしている。

図2 蓄電池を導入したオフィスの様子。手前にあるのが蓄電池、従業員はノートパソコンとタスクライトの電源を蓄電池から得ている。天井照明が消えていることも分かる

 工場では天井照明に効率が高い反射板を導入し、消費電力量の見える化や、自家発電設備の導入などの対策を打った結果、全国の工場で合計15.5%(関西電力管内では31.7%)の節電に成功した。

 同社が管理するショッピングセンターでは、共用部の照明をLED照明に入れ替え、空調機器の設定温度を28℃とし、共用設備の利用効率改善や、一部利用停止に取り組んだほか、テナントの店舗に節電への協力を呼びかけるなどの対策を実施した。その結果、全国のショッピングセンター合計で22.9%(関西電力管内では28.9%)まで節電できた。

 ピークシフトに利用できるほどの蓄電容量があるリチウムイオン蓄電池は、まだまだ高価だ。大和ハウス工業は、その高価な蓄電池を1000台も導入して、大規模なピークシフトが可能であるということを証明して見せた。リチウムイオン蓄電池の価格が下落し、気軽に手を出せるものになれば、全国の企業も同じようにピークシフトに取り組めるだろう。そうなれば、夏のピーク時を特別意識する必要もなくなるかもしれない。

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