a.石油 y.16円
東京電力が9月から値上げした家庭向けの電気料金の単価は、1kWhあたり18.89円〜29.10円に設定されている。それに対して石油の燃料費は今後3年間の平均で15.95円になる、というのが東京電力の予測だ(右の図)。これだけ原価率が高ければ、赤字になるのも無理はない。
ただし販売している電力量を見ると、火力発電の中ではガスが圧倒的に多く、1kWhあたりの燃料費は10.67円と石油の3分の2で収まる。さらに石炭に至っては4.39円と非常に安い。最近は石炭を使って効率よく発電できる方法も開発されており、将来に向けて増加が見込まれている。
火力発電はCO2を多く輩出するため、温暖化対策の観点では縮小していく方向が望ましい。しかし当面は原子力発電所の再稼働が進まないことを想定すると、火力発電の増加は不可欠だろう。
今後はCO2の排出量を抑制する高効率化の技術が進む一方で、米国などでは天然ガスの価格低下が始まっており、火力発電を取り巻く環境が改善する兆しも見える。電力会社には燃料費以外のコスト削減を続けて、赤字体質から早く脱却できるように願いたい。
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