2013年はこれが本命? 「風力発電」キーワード解説

2012年はメガソーラーの建設ラッシュとも言うべき年だった。しかし、2013年度から太陽光発電による電力買取価格が下がる可能性が高くなってきた。そこで注目を集めているのが「風力発電」だ。

» 2013年02月01日 15時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 オランダのチューリップ畑の中に建つ大きな風車の写真を見たことがある人は多いだろう。実物を見た人もいると思う。この風車は農地から水を排出するポンプのような役目を果たしていた。風を受けて回転する風車は、その回転運動を利用してスクリュー型のポンプを回して水を排出していたのだ。風をうまく拾えば、大きな仕事をさせることができるということがお分かりいただけるだろうか。

 風力発電の基本的な考え方もオランダの風車と変わらない。風を受けて風車を回し、風車の軸を回転させる。この回転運動を発電機に伝えて発電するのだ。実際は、風車の回転数は発電機を回すには遅過ぎるので、歯車を利用して風車の力強くゆっくりした回転を高速回転に変換して発電機に伝える。回転数を上げる部分を「増速機」と呼ぶこともある(図1)。

図1 風力発電機の基本的な仕組み。ブレードの根本にある「可変ピッチ」は、風が強すぎるときに風車が壊れるのを防ぐために、風車を回転させないようにする機能を持つ。出典:財団法人 新エネルギー財団

 風車に伝わる力は風速の3乗に比例する。風力発電機を建てるときはなるべく強い風が吹き続ける所に建てなければならないのはこのためだ。弱い風しか吹かない場所では、発電してもごく微量ということもあり得る。

 もう1つ、風車に伝わる力は風車が描く円の面積に比例する。風力発電機は大出力化が進んでおり、1台で最大出力が2.5MWに達するものが主流となっている。図2は三菱重工業が販売している風力発電機「MWT102A/2.5」だ。風車が回転する部分の直径は102mで、回転する面の面積は8171m2にもなる。

図2 三菱重工業の風力発電機「MWT102A/2.5」。出典:三菱重工業

 三菱重工業は独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の協力を受けて、風車の回転力を発電機に伝える部分に新技術を投入した試作機を完成させ、試運転を始めている。風力発電機1台の最大出力を7MWまで高めるための新技術だ。2013年8月にはイギリスに陸上風力発電機を、2014年秋には福島沖に洋上風力発電木を建設することを計画している。出力7MWを狙う風力発電機の風車はかなり大きいものになるだろう。

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