吉野ヶ里のメガソーラーが完成、文化財保護で基礎部分は「置き式」にスマートシティ

佐賀県の吉野ケ里遺跡に隣接する未利用地で建設が進められていたメガソーラーが7月25日に完成した。発電能力は12MWを発揮して、一般家庭3600世帯分の電力を供給することができる。文化財の保護のために基礎部分を地中に埋めない「置き式」を採用した。

» 2013年07月26日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 「吉野ヶ里メガソーラー発電所」は吉野ヶ里遺跡の北西に隣接する16万平方メートルの土地に建設した(図1)。5万枚の太陽光パネルを設置して、発電能力は12MW(メガワット)に達する。年間の発電量は1285万kWhを見込んでいる。

 九州では5月に日揮が大分県で26.5MW、九州電力グループが長崎県で13.5MWのメガソーラーを運転開始しており、それに次ぐ規模になる。

図1 「吉野ヶ里メガソーラー発電所」(愛称:てるてるの森)。出典:NTTファシリティーズ

 遺跡に近い場所にメガソーラーを建設するために、太陽光パネルを設置する架台の基礎部分は地中に埋めない「置き式」を採用した。周辺地域が平坦であることから、景観に配慮してパネルの設置位置を高さ1.3メートルに抑えている。

 さらに地域との共生をテーマに、停電対応型のパワーコンディショナーとリチウムイオン蓄電池を備えて、災害・停電時にも電力を供給できるようにした。駐車場には電気自動車用の充電器を2台設置して、そのうちの1台は停電対応設備と連携して機能する。

 地元の住民の理解を得られるように見学施設も併設した。小中学校の生徒を対象にした環境教室などを開催する。メガソーラーの愛称は生徒から募集して「てるてるの森」に決定した。

 メガソーラーの事業主体はNTTファシリティーズが100%出資する「佐嘉吉野ヶ里ソーラー合同会社」で、建設用地は所有者の佐賀県から賃借した。もともと佐賀県が多目的の産業用地として「吉野ヶ里ニュー・テクノパーク」を開発した跡地である。計画通りに企業の誘致が進まず、約20年間にわたって未利用のままだった。

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