7月の電力需要は3地域で前年をわずかに上回る、前半に中部、後半に四国・九州でエネルギー管理

例年以上に暑い7月が終わり、今夏の電力需要の見通しが明らかになってきた。当初は全国各地で前年を大幅に上回る需要が予測されたが、前年実績を上回ったのは中部・四国・九州の3地域だけで、いずれも微増だ。特に7月後半は西日本を除いて前半よりも需要が減少した。

» 2013年08月02日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 7月の前半には各地で最高気温が35度を超える猛暑になり、電力需給の先行きが心配されたものの、後半に入って需要が増えることはなく、安定した状態が続いている。7月1日(月)〜31日(水)の最大電力を見ると、北海道から関西までの6地域は前半の需要が大きく、西日本の3地域だけが後半の25日(木)に需要が増加した(図1)。

図1 7月1日〜31日の全国各地の最大電力

 このうち前年7月の最大電力を上回ったのは中部・四国・九州の3地域である。そのほかの6地域は前年の実績を下回った。政府の委員会や電力会社は経済の好転と節電の減少を見込んで、前年を大幅に超える最大電力を予想していたが、大きく外れる結果になった。

 前年を上回った3地域でも、中部が1.3%増、九州が1.2%増、四国が0.4%増で、いずれもわずかな増加にとどまっている。一方で減少した地域では東北の12.0%減が目立つ。そのほかの地域は微減の状況で、全国を通して見るとほぼ前年並みの需要だ。

 今夏に電力の予備率(需要に対する供給力の余裕)が3%にまで減少することを予測していた関西電力は、早々と7月1日〜29日の14時台における最大電力を分析している(図2)。

 それによると、気温と最大電力の相関は今年と前年の夏で同様の傾向にある。この結果からも、節電効果が前年と変わらずに発揮されていることがわかる。今年は7月だけのデータだが、震災前の2010年の夏と比べて最大電力が約9%低くなっている。

図2 関西の14時台の気温と最大電力。出典:関西電力

 こうなると、もはや電力会社は電力不足を理由に原子力発電所を再稼働させることは難しい。来年以降も電力の需要が増加することはないだろう。再稼働の口実は燃料費の増加による電気料金の値上げしかなくなってきた。

 とはいえ原子力発電所を再稼働させるためには巨額の安全対策費がかかるうえに、将来の使用済み核燃料の処理コストも膨大になる。政府を含めて早めに方針を転換するほうが得策であるように思える。

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