デマンドレスポンスの自動化システム、富士通が世界初のソフトを開発エネルギー管理

企業や家庭の電力需要を地域単位で自動的に制御する「自動デマンドレスポンス」(ADR)のシステム開発が急速に進んできた。国際標準規格を策定するOpenADRアライアンスが7月に最新版の「OpenADR2.0b」を発表後、富士通が世界で初めて対応ソフトウエアの認定を受けた。

» 2013年08月20日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 OpenADRアライアンスは米国で2010年に設立された非営利団体で、世界各国の電力会社や通信会社をメンバーに加えて「自動デマンドレスポンス」(ADR)の国際標準規格を策定中だ。米国のグーグルやドイツのシーメンスのほか、日本からは富士電機、富士通、日立製作所、三菱電機、NTT、オムロン、東芝の7社が参加している。

 日本の7社の中では現在のところ富士通の取り組みが最も進んでいて、このほどOpenADRの最新版である「2.0b」に対応したソフトウエアを世界で初めて開発した。OpenADRの仕組みは、企業や家庭のエネルギー管理システムに組み込む「VEN(Virtual End Node)」のほかに、デマンドレスポンスを依頼する側の電力会社やアグリゲータの管理システムに組み込む「VTN(Virtual Top Node)」で構成する(図1)。

図1 「OpenADR」による自動デマンドレスポンスシステムの構成要素。出典:富士通

 このうち富士通が認定を受けたソフトウエアはVENの部分である。システム全体の中でクライアントになるVENは、サーバーの役割を果たすVTNからのメッセージ(節電要請)を受けて、デマンドレスポンス(節電応答)を実行する。この間に必要なメッセージ処理や各種の管理機能を標準化したものがOpenADRの2.0bである。

 富士通は今後2.0b対応のVENをBEMS/HEMS(ビル/家庭向けエネルギー管理システム)のベンダーに提供するのと並行して、サーバー側のVTNも2.0bに準拠した形で早急に開発する計画だ。BEMSやHEMSの中にVENが組み込まれると、電力会社やアグリゲータがVTNの機能を使って自動デマンドレスポンスを実行できるようになる。

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