屋根を使った太陽光発電、レオパレス21が他企業を巻き込み新事業を広げる自然エネルギー

レオパレス21は、2013年9月から屋根を使った太陽光発電の新事業を開始する。以前から同社が進めてきた事業とは異なり、レオパレス21自体は発電に関与せず、発電事業を進めたい企業を募る形だ。

» 2013年09月24日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 建物の屋根は太陽光発電システムの設置場所として最適だといえる。新たに土地を用意する必要がなく、設置する際にコンクリート基礎などを作り込む必要もないからだ。電力の消費地にも近い。最短距離だ。

 一口に屋根に太陽光発電システムを設置すると言っても、実にさまざまな手法がある。ビジネスモデルに幅があるということだ。戸建住宅の場合は、土地、建物、システム全てをその世帯が負担する場合が多いだろう。

 レオパレス21は管理の委託を受けているアパートを対象とした屋根借り関連の新事業を2013年9月からフィンテック グローバルと共同で開始する(図1)。「2014年4月末までに500〜800棟で実現したい」(レオパレス21)。対象地域は全国だ。

図1 新たに開始する屋根借り太陽光発電事業。出典:レオパレス21

 新事業がこれまでのレオパレス21の事業と異なるのは、太陽光発電システムを所有し、売電事業を行う事業法人(発電事業主体)を案件ごとに募集することだ。さらに発電事業自体にはレオパレス21は関与しない。レオパレス21が関係する部分は、アパートオーナーに対する屋根借りの提案と、発電事業主体に対する太陽光発電システムの設計、施工という2点だけだ。

 新事業では、投資意欲のある発電事業主体を探し出すところが出発点となる。そこで、投資銀行業務や企業投資に強みのあるフィンテック グローバルと共同で取り組む。太陽光発電に対する投資意欲があり、資金も用意できるが、土地を確保できない事業者に向ける。

 レオパレス21は2013年2月から「屋根借り太陽光発電事業」(ルーフメガソーラープロジェクト)を開始している。従来の事業では、レオパレス21が発電事業主体である特別目的会社(SPC)に出資している。三菱UFJリースとSPCを設立した他、オムロンFEともSPCを立ち上げた。図1にある赤い四角の部分がSPCとなっている事業形態だ。

 新旧2つの事業を比較すると、レオパレス21の収益構造が大きく変わっているように見える。従来の事業では売電収入を得ることができるが、新事業ではできない。新事業はレオパレス21にとっては不利な事業なのではないのか。「実は従来の事業でも売電収入の大半はSPCに共同出資した企業が得ており、当社は設置費用で収益を得る構造だった。新事業ではSPCと比較して当社の投資額はより少なくなり、手離れもよくなる」(レオパレス21)。

 これらの2つの事業とは異なる形のビジネスも検討中だという。「当社の子会社であるレオパレス・パワーを通じて、当社が屋根上への設置費用を負担し、売電収入を得るタイプの事業の可能性を探っているところだ」(レオパレス21)。

 以上の事業を表にまとめると、図2のようになる。「2.b」が従来の屋根貸し事業、「2.d」が今回の新事業、「2.c」が売電収入を得ることを検討中の事業だ。なおこの他にも、アパートオーナーの依頼に応じて太陽光発電システムを設置する事業(図2の1)や、福島県で2012年に開始した事業(関連記事、図2の2.a)があり、屋根を使った太陽光発電事業は合計5種類に上る。さらに地上設置のメガソーラー事業(図2の3)も進めている。

図2 レオパレス21の太陽光発電事業。出典:レオパレス21

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