マンションのエネ管理はどう根付くのか、2013年度のMEMS市場は390億円規模エネルギー管理

マンション向けエネルギー管理システム(MEMS)を備えた新築マンションが増えてきた。これは経済産業省の補助金事業開始とともに、MEMSを扱うMEMSアグリゲーターが市場に参入したからだ。矢野経済研究所が発表したMEMS市場の現状と将来の姿について紹介する。

» 2013年10月25日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 矢野経済研究所は2013年11月24日、MEMS(マンション向けエネルギー管理システム)の市場調査結果を発表した。2013年度のMEMS市場規模は、事業者売上高ベースで390億円であると見込んだ。

 MEMS市場は黎明(れいめい)期にあり、2013年度から始まった経済産業省「スマートマンション導入加速化推進事業」とともに立ち上がった形だ。同事業は総額130億円の補助金を用意しており、MEMSアグリゲーターのサービスを1年以上受ける場合、導入費用の最大3分の1に補助金が下りる。

 MEMSアグリゲーターが提供するスマートメーターや見える化サービス、通信規格ECHONET Liteに対応した家電制御機器が補助金の対象となる。加えて、高圧一括受電やインターネット接続サービスなども補助金の対象となっているため、MEMS単独よりもマンションへの導入速度が高くなっている。

 不安材料もあるという。MEMSアグリゲーターは24社あるものの、事業開始時期や営業展開の規模に大きな差があるため、全社が事業を開始するのは2013年下期になる。このため、390億円という数字は大きく下ぶれする可能性があると指摘している。

MEMSアグリゲーターを4タイプに分類

 MEMSはこれまでにない新規のサービスであり、MEMSアグリゲーターは事業の背景から4つに分類できるとした。高圧一括受電事業者と通信系事業者、システム機器事業者、マンション管理・設備事業者である。この中で優位に事業を展開しているのは、高圧一括受電事業者を兼ねる企業と、マンションデベロッパーとの関係が強い企業だという。ただし、提供する機能やサービスは発展途上であると指摘した。

 今後の市場は右肩上がりで拡大するという。矢野経済研究所によれば、スマートマンション導入加速化推進事業は2015年度まで継続される見込みだ。それまでにMEMSアグリゲーション事業が単独で成り立つようサービス内容を確立していかなければならない。現在主流の高圧一括受電などとは異なるMEMSならではの独自機能やサービスが現れ、ユーザーに認知されるなら、マンションのスマート化の手段として定着していき、新築マンションにとどまらず、既築マンションにも普及していくと指摘した。

 2016年度の予想市場規模は810億円である(図1)。2015年度までの伸び率と比較して予測値が鈍化しているのは補助金事業終了を見込んだためだ。

図1 MEMS市場規模の予測。出典:矢野経済研究所

 なお、今回の調査結果は2013年7月から9月にかけて、MEMSアグリゲーターや関連団体、システムメーカーなどへの聞き取り調査などによって導き出したものだという。市場規模はスマートマンション導入加速化推進事業の対象となるMEMSアグリゲーター各社の売上高から算出したものだ。同社は今回の調査結果を「マンションエネルギー管理システム(MEMS)の可能性と将来性 2013」として販売している。

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