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» 2013年10月26日 01時00分 公開

ウイークエンドQuiz:「雪」のエネルギーは何に役立つ? (2/3)

[畑陽一郎,スマートジャパン]

正解:

 c. アルミ精錬

ミニ解説

 雪氷熱は熱利用技術の対象の1つだ。資源エネルギー庁は有効利用が可能な熱を4種類に分類している(図1)。

 雪氷熱は、温度差エネルギーや太陽熱などと同一のカテゴリーに分類されており、再生可能エネルギー熱と呼ばれている。この他にも未利用エネルギー熱や蓄熱槽、天然ガスコージェネレーションなどのカテゴリーがある。再生可能エネルギー熱の利用事例を図2に示す。雪氷熱の例として、後ほど紹介する新千歳空港が挙がっている。

図1 有効利用が可能な熱資源の例。出典:資源エネルギー庁
図2 再生可能エネルギー熱の利用事例。出典:資源エネルギー庁

再生可能な熱の強みとは?

 再生可能エネルギー熱は他の3種類の熱と比較してどのようなメリットがあるのだろうか。蓄熱槽と比較してみよう。

 蓄熱槽は空調などに必要な設備容量を減らすことに役立つ。言葉を換えれば、1年間に必要な電力や石油の量を減らすことができる省エネルギー技術だ。

 ヒートポンプ・蓄熱センターによれば、蓄熱槽を応用すると電力のピークシフトに役立つという。夜間に冷熱を作り、それを日中に放出するという考え方だ。夏季(8月)の事務所建物において空調が占める電力の割合は同センターによれば63%と最大だ。内訳は冷熱を作るための電力が34ポイント、冷熱を運ぶための動力が29ポイントである。夜間に冷熱を作っておき、蓄熱槽に蓄えることで34ポイントの部分を改善できる。効果は大きい。昼間の最大電力を約2割削減できるという。

 雪氷熱はさらに優れている。夜間に冷熱を作る代わりに、冬季の自然な冷熱をそのまま保っておき、必要に応じて夏季に利用するからだ。一言で言えば「電力のいらない冷房」が可能になる。降雪をそのまま利用する他、冬季の低温で水を凍らせた氷を使うこともできる。

 雪氷熱利用の歴史は長い。動力を用いた冷蔵庫が発明される以前から、国内では「氷室」として奈良時代から利用されてきた。記録に残る最も古い氷室は紀元前1700年のイランのものだ。イギリスやヨーロッパ諸国、米国でも氷室の利用例がある。

 現代日本でも新しい氷室が建設されている。氷室の特長は一切の動力を使わずに雪氷熱を利用する点にある。これを現代の送風・空調技術と組み合わせることでさまざまなバリエーションが生まれている。

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