マンション全戸にエネファーム、総合地所と東急不動産が導入スマートハウス(1/2 ページ)

都市ガスを使って電力と給湯をまかなう「エネファーム」。利用条件によっては光熱費削減に役立つため、戸建住宅での導入事例が増えている。これまではマンションで導入しようとすると設置スペースを確保できなかった。そこで、パナソニックと東京ガスが開発したマンション設置に特化する第4世代機を採用した。

» 2013年10月30日 13時10分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 総合地所と東急不動産はそれぞれ計画中のマンション1棟のマンション全戸に「エネファーム」を設置する計画を発表した。都市ガスから効率良く電力と熱(温水)を得ることができるため、マンションの省エネに役立つ。

 総合地所は「(仮称)ルネスカイプレミア品川中延」(品川区西大井)に導入する。地上15階建てのマンションで、100戸全戸が対象だ(図1)。「1戸ごとのメーターボックス内の空間にエネファームを配置する」(同社)。「現在計画中の物件であり、HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)や高圧一括受電などの導入も検討中だ」(同社)。戸建て分譲でエネファームを標準装備した実績が2件あり、今回のマンション全戸導入につながったという。

図1 (仮称)ルネスカイプレミア品川中延。出典:総合地所

 東急不動産は「ブランズシティ品川勝島」(品川区勝島)に導入する(図2)。地上18階地下1階の全356戸の標準設備とする。エネファームと東急不動産独自の創エネ・蓄エネ・省エネをEMS(エネルギー管理システム)で実現することをうたっている。具体的にはHEMSを導入する。今回は高圧一括受電は採用しないとした。

図2 ブランズシティ品川勝島。出典:東急不動産

マンション向けエネファームを開発

 今回、両社が導入を決めたエネファームは、パナソニックと東京ガスが共同開発したマンション専用機だ。2014年4月に東京ガスが発売する。パナソニックと東京ガスはこれまで3世代のエネファームを開発している。これまでも小型化や分散配置が可能な構成などを工夫してきたものの、いずれも戸建住宅に向けた製品だった。

 大都市圏ではマンション化率は2割前後と高い。そこで、大阪ガスは2009年から、東京ガスも2012年から集合住宅向けのエネファームの実証実験を続けている(関連記事)。

 今回のマンション向けエネファームは2013年4月に発売した第3世代機の基本性能を維持しながら、開放廊下を備えたマンションのパイプシャフト内への設置を可能にしたことに特徴がある(図3)。開放廊下とは廊下の片側が外部空間に面した廊下だ。

 これまでもマンションの1階の外壁面に設置した事例はあるものの、パイプシャフト内に必要な全ての機器を設置できる製品としては世界初のものだと主張する。

図3 マンション向けエネファームの設置イメージ。出典:パナソニック
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