マンション全戸にエネファーム、総合地所と東急不動産が導入スマートハウス(2/2 ページ)

» 2013年10月30日 13時10分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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マンション向けに何を改善したのか

 ここでいうエネファームの基本性能とは200〜750Wという発電出力や、39.0%という発電効率、56.0%という熱回収効率、95.0%という総合効率をいう*1)。このため、住宅の一次エネルギーを約37%節約可能で、CO2排出量が約49%削減できるという結論も同じだ。東京電力の火力発電所で発電した電力と東京ガスの都市ガス給湯器を組み合わせて利用した場合と比較すると、エネファーム採用により3人世帯で、年間の光熱費を3〜4万円削減できる効果があるという。

 パイプシャフト内への設置を可能にするための開発ポイントが複数ある。機器の寸法を微調整した他、耐震性と耐風性を強化した。

 エネファームは3つの直方体状のユニットから構成されている。燃料電池ユニット、貯湯ユニット、バックアップ熱源機だ。燃料電池ユニットは発電、発熱する部分、貯湯ユニットは燃料電池ユニットから熱を湯の形で取り出して蓄積(最大147L)する部分、バックアップ熱源機は貯湯ユニット内の湯の温度が下がったときや、床暖房用の湯の供給に使う。実際には「エコジョーズ」給湯器とほぼ同じものだ。「採用したマンションに導入するTES床暖房では、バックアップ熱源機の熱を使う」(総合地所)。

 まず、3つのユニットをパイプシャフト内の限られた空間に収めることができるように形状などを設計し直した。戸建住宅では3つのユニットをいわばむき出しの形で設置する。今回は全体をパイプシャフト内に収める。そこで、排熱経路の確保が重要になった。燃料電池やバックアップ熱源機の排気吹き出し口を1つに集約することで対応した。

 耐震性を高めるために、ユニットをアンカー固定する脚部の強度を高めた。耐風性向上の目的は秒速30mの強風時でも運転可能とすることだ。マンション高層階は一般に風が強くなりやすい。給排気構成を変更することで対応した。

そもそもエネファームとは?

 エネファームとは都市ガスを利用して電力と温水を生み出す家庭向けのコージェネレーション装置の愛称。都市ガスの主成分であるメタン(CH4)から水素(H2)を取り出し、水素を空気中の酸素(O2)と反応させることで動作する。その際、炎を上げるような燃焼を起こさずに、燃料電池と呼ばれる仕組みを使うことで発電を可能とした(関連記事)

 今回、パナソニックと東京ガスが開発した製品は熱出力が高くなるように設計されている。この他、発電量が多くなるような設計を採る製品もある。

*1) 燃料ガスを完全に燃焼したときの発熱量から水蒸気の凝縮潜熱を差し引いた値である低位発熱量基準(LHV:Lower Heating Value)に基づいた効率値である。

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