太陽光発電に不利な地域でメガソーラー、積雪と日照時間を克服できるか自然エネルギー

東北の中では再生可能エネルギーの導入量が少ない山形県だが、不利な条件を克服すべく太陽光発電の拡大に挑む。県内の積雪量が多い地域に、発電能力が1MW(メガワット)のメガソーラーを稼働させた。3種類のパネルを2つの角度で設置して、発電量や雪の影響を評価して公表する予定だ。

» 2014年01月09日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 山形県の中部にある村山市では、冬期の積雪量が1メートルを超えることも珍しくない。その市内にある園芸試験場の跡地を利用して、県営による初めてのメガソーラーが2013年12月25日に運転を開始した。2万6000平方メートルの用地に設置した4900枚の太陽光パネルを使って、最大1MW(メガワット)の電力を供給することができる。

 年間の発電量は105万kWhを見込んでいて、設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は太陽光発電の全国平均値12%を想定している。積雪の影響を最小限に抑えるために、パネルの架台を1.8メートルの高さで設置したほか、パネルの角度は30度を基本にして、一部は40度の傾斜をつけた(図1)。

 パネル本体も県内産、県外産、海外製の3種類を使い分け、発電量や雪の影響を比較する。それぞれの実績データを公開して、山形県内でメガソーラーを計画中の事業者が最適なパネルを選定・設置できるようにする方針だ。

図1 「県営太陽光発電所」のパネル設置状況。出典:山形県企業局

 村山市は日照時間も短く、過去10年間で最も短かった年は1300時間しかなかった。最長でも1700時間を超えることはなく、全国平均の1900時間と比べると明らかに少ない。冬の積雪と合わせて太陽光発電に不利な条件がそろっているにもかかわらず、あえて挑むのは県内の再生可能エネルギーの導入量が期待通りに増えていないためである。

 山形県では電力の使用量に対する再生可能エネルギーの比率が2010年の時点で2%しかなく、この比率を2030年に25%まで高めることを目指している。そのためには太陽光発電の導入量を19倍の規模に拡大する必要がある。県みずからメガソーラーを運営して成果を示すことで、事業者の導入意欲を高める狙いだ。

 メガソーラーの工事費は約5億円かかった。発電した電力を固定価格買取制度で売電して投資を回収する。想定通りの発電量を確保できれば、年間に約3800万円の収入になり、運転維持費を考慮しても20年以内に回収できる。最大の課題は12%の設備利用率を長期にわたって維持できるかどうかである。県が公表する実績データに注目したい。

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