可能性が広がるメタンハイドレート、新たに5カ所で調査開始電力供給サービス

国産の天然ガスとして大きな期待がかかるメタンハイドレートの資源量を把握する調査が日本近海の5カ所で始まる。2013年度にも実施した新潟県の上越沖に加えて、秋田県から島根県までの日本海側のほか、北海道の太平洋側でも海底の地質調査を実施する予定だ。

» 2014年04月17日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 資源エネルギー庁が日本近海の海底に分布するメタンハイドレートの調査を新たに開始した。2013年度に実施した上越沖と能登半島西方沖に続いて、2014年度は範囲を拡大して5カ所で広域の地質調査を実施する(図1)。いずれの場所も海底から浅い地層に含まれる「表層型」のメタンハイドレートが対象になる。

図1 表層型メタンハイドレートの調査予定海域。出典:資源エネルギー庁

 最初に音波を使って海底の地形や海底直下の地質構造を把握するために、調査船が鳥取県の境港を4月15日に出航した(図2)。これまでの調査によってメタンハイドレートの存在が確実視される隠岐の周辺海域2カ所から始めて、上越沖、最上トラフ(秋田・山形沖)、さらには太平洋側に移って北海道の日高沖まで、2カ月間にわたって地質調査を進める予定だ。

図2 調査船の「第七開洋丸」(全長52メートル)。出典:資源エネルギー庁

 この広域地質調査の結果をもとに、海底から地層サンプルを取得する掘削調査を6月から7月にかけて実施する。2013年度の調査では、上越沖の海底でメタンハイドレートが露出している様子を確認できている(図3)。今回は他の海域でもメタンハイドレートの存在を確認できる可能性が大きい。

図3 メタンハイドレートが露出する上越沖の海底(2013年度の調査による)。出典:明治大学ガスハイドレート研究所

 掘削調査に続いて今秋には、環境モニタリング調査も実施する予定になっている。遠隔操作が可能な無人探査機を使って海底にモニタリング装置を設置して、海洋環境と生物環境の変動を把握する。この環境モニタリング調査は2013年度にも上越沖と能登半島西方沖で実施した(図4)。

図4 海底に設置したモニタリング装置(2013年度の調査)。出典:明治大学ガスハイドレート研究所

 資源エネルギー庁は実際にメタンハイドレートを天然ガス資源として回収するための技術調査にも取り組んでいく計画だ。2014年度の調査は2013年度と同様に、産業技術総合研究所と明治大学ガスハイドレート研究所に委託する。

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