100MW級の地熱発電所を南米ボリビアに、日本政府が25億円弱を供与自然エネルギー

政府は南米のボリビアで計画中の地熱発電所の建設に向けて、24億9500万円を上限に円借款で資金を供与する。2013年から開始した「攻めの地球温暖化外交戦略」の一環で実施する途上国支援策である。建設予定地の近くではリチウム資源の開発も進んでいる。

» 2014年05月12日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 ボリビアの位置。出典:外務省

 ボリビアは南米のほぼ中央に位置する人口1000万人の多民族国家である(図1)。南米の中でも所得水準が低く、持続的な経済成長が課題になっている。国内の電力が逼迫状態にあるため、新たに発電所を建設して経済成長を促進する狙いだ。

 地熱発電所を建設する場所は、チリとの国境に近い南部の「ラグナ・コロラダ地熱地帯」である(図2)。一帯は標高4000メートルを超える高山地域で、周囲には活火山が数多く分布する。すでに掘削調査を実施して、100MW(メガワット)級の発電設備を建設する構想が固まっている。

図2 地熱発電所の建設予定地。出典:外務省

 この発電所の建設計画のうち第1段階のプロジェクトに対して、日本政府は24億9500万円を上限とする円借款の供与を決めた。償還期間は40年で、金利は0.65%に設定している。地熱発電所はボリビアの電力公社が建設する予定だ。

 円借款に加えて、日本の企業や団体が地熱発電の技術やノウハウを供与することで国を挙げて支援する。これまでにもJETRO(日本貿易振興機構)やJICA(国際協力機構)を通じて、日本企業が地熱発電の事業可能性調査や環境影響評価などで協力してきた。

 ボリビアにはリチウム資源の宝庫である「ウユニ塩湖」があり、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)を中心に大規模な開発プロジェクトが進んでいる。リチウムは蓄電池の素材として欠かせないレアメタルの1つである。ボリビアとの関係強化は日本のエネルギー戦略においても極めて重要になっている。

 政府は2013年に「攻めの地球温暖化外交戦略」を策定して、温室効果ガスの排出量を2050年までに世界全体で半減させる目標を掲げた。具体策の1つとして2013〜2015年の3年間に、途上国に対して総額1兆6000億円にのぼる支援を実施する方針だ。その中にボリビアの地熱発電プロジェクトも含まれていて、さらに資金供与の規模を拡大する可能性がある。

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