規制緩和によって始まったsmacoサービスにも課題がある。先ほど「運用の課題」とあった点だ。「従来のサービスであれば営業所Aを離れた車は必ず営業所Aに戻ってくる。従って、営業所の駐車スペースは車の台数と同じでよい。smacoは駐車場Aからどこに返ってくるのか(長期的には)分からない*3)。そのため、駐車スペースを実車よりも多く用意しなければならない。smacoでは1.5倍にしたものの、これが最適な数字なのかは運用してみないと分からない」(オリックス自動車)。3社がsmacoを実証実験ではなく、サービスとして開始した理由の1つがこれだ。「ある程度の台数と駐車場を用意して運用しないと1.5倍でよいのかどうか分からない。もう1つの問題はコストだ。都市部で駐車場(と充電器)を1.5倍用意すると、当然コスト増につながる。これをサービス利用の増加による収益増でカバーできるのかどうか、実際に料金をとるサービスで検証する」(同社)*4)。
*3) 今回のsmacoではPCやスマートホンのアプリケーションから予約する形で貸し出す。その際、出発ステーションと返却ステーションを指定する運用とした。
*4) smacoサービスでは国や自治体からの補助金を得ていない。ただし、アマノが管理する駐車場に設置した普通充電器32台の導入に当たっては補助金を利用している。
なお、smacoのようなワンウェイサービスには技術的な課題はあまりないのだという。「スマート電気自動車にカーシェア用の車載器、車管理用の機器を搭載する」(メルセデス・ベンツ日本)。GPSを利用して実車の位置をリアルタイムに把握できる。「充電ケーブルを接続しないと車を返却したことにならない運用を採ったため、充電されないという問題は起きにくいだろう」(オリックス自動車)。
日本のレンタカーサービスは遅れている。これはサービス会社に課題があるというよりも、当局の規制が厳しいからだ。例えば、ドイツDaimler(ダイムラー)は「car2go」という乗り捨て可能なカーシェアリングサービスを欧米で展開している(関連記事)。car2goの乗り捨てはsmacoよりも先進的だ。例えば、指定エリアの路上で貸し出し返却サービスを受けられる。
「今回のサービスはcar2goとは異なる。car2goは親会社であるダイムラーの事業だ。ただし、ダイムラーと当社はそれぞれ、サービスの内容を共有している」(メルセデス・ベンツ日本)。規制緩和がさらに進めば、car2goのようなサービスが期待できるだろう。
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