規制緩和がレンタカーを改善? 横浜で新サービス登場電気自動車(1/2 ページ)

アマノとオリックス自動車、メルセデス・ベンツ日本は2014年7月14日、メルセデス・ベンツ日本の2人乗りの電気自動車「スマート電気自動車」を利用したサービス「スマート ワンウェイ カーシェアリング」(smaco)を開始すると発表した。横浜市内の8カ所のステーション(駐車場)で車を15分200円で借りられる。

» 2014年07月25日 12時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 電気自動車を使った新しいカーシェアリングサービスが、横浜市で2014年9月から始まる。ワンウェイ(乗り捨て)方式を採ったことが特徴だ。

図1 カーシェアリングサービスに用いる「スマート電気自動車」(専用車載機器は未搭載) 出典:メルセデス・ベンツ日本

 アマノとオリックス自動車、メルセデス・ベンツ日本は2014年7月14日、メルセデス・ベンツ日本の2人乗りの電気自動車「スマート電気自動車」を利用したサービス「スマート ワンウェイ カーシェアリング」(smaco)を開始すると発表した(図1)。2015年3月まで、まずは7カ月間、同車を20台用意して、横浜市内の8カ所のステーションで貸し出す。ステーションの位置は、センター南駅前、横浜駅西口駅前、新横浜駅前、日吉駅前 慶応大学付近、あざみ野駅近郊 住宅街、たまプラーザ駅前、みなとみらい 赤レンガ倉庫付近、元町中華街(図2)。

 利用料金は時間料金が15分200円。距離料金や長距離パック料金(割引)はなく、ステーションでの充電料金は不要だ。これは都市内のカーシェアリングを用途として考えたからだ。「走行エリアの制限はなく、貸し出し時間は最大96時間」(オリックス自動車)。例えば、外部の普通充電器を利用すれば、横浜神戸間を往復することもサービス上は可能だ。

図2 8カ所の駐車場の位置 出典:オリックス自動車

 「スマートは都市交通に最適な車とは何かを考えて開発した車だ。当初から電気自動車化も考えていた*1)。今回のsmacoは都市交通に適したサービスであり、名乗りを上げた」(メルセデス・ベンツ日本)。

*1) 欧州メーカーが国内で発売した初の量産型電気自動車。1充電当たり181km走行可能。最高速度は時速125km。容量17.6kWhのリチウムイオン蓄電池を搭載する。200Vで充電した場合、充電時間(フル充電)は8時間。急速充電には対応していない。

 「顧客からワンウェイサービスを始めて欲しいという要望が以前からあった。これまでは法的規制や運用の課題があったため、サービス開始に至らなかったが、国土交通省の通達があったことから、smacoの実現に至った」(オリックス自動車)。

規制緩和の果実を生かす

 今回のsmacoの最大の特徴は「ワンウェイ」であること。現在も「ワンウェイ」と呼ばれているサービスは存在する。営業所Aで借りた車を営業所Bで返却できるというものだ。smacoでは営業所ではなく、駐車場(ステーション)Aで借りて駐車場Bで返却できる。ユーザーの利便性はさほど変わらないように見えるが、サービス事業者側の期待は大きい。新しい需要を喚起できると考えているからだ。例えば公共交通機関と組み合わせた「パーク&レールライド」の利便性が高まることで、利用回数が増えるだろう。smacoのステーションの位置もこのような利用を考慮して選ばれている。

 従来のサービスでは、営業所Bで返却された車は一定時間内に営業所Aに事業者が戻す必要があった。営業所Bで別の顧客に貸し出すことはできない。smacoは違う。駐車場AからBへ、さらにC、Dというように次々と貸し出していくことができる。

 このような運用が可能になったのは国土交通省が事業者の要望に応じて、ワンウェイ方式の規制を緩和したからだ。2014年3月に「いわゆるワンウェイ方式のレンタカー型カーシェアリングの実施に係る取り扱いについて」を発表(発表資料*2)。この通達を利用した初のサービスがsmacoである。

*2) 従来は「使用の本拠の位置」(有人の配置事務所)から2kmを超えない位置に車を保管しなければならなかった。レンタカー型カーシェアリングの場合は無人の路外駐車場を使用の本拠の位置にできるという方針を打ち出した。

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