「隠岐の島」大型電池役立つか、空港跡にメガソーラー自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2014年08月22日 19時30分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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町が遊休地を太陽光で活用

 中国電力の技術実証事業のうち、太陽光発電(3.0MW)の対象は「決まっている」。隠岐の島町が2014年8月に発表した「隠岐の島町メガソーラー発電事業」(隠岐の島町岬町田垣)の公募に採択される事業を対象とするからだ。

 隠岐の島町が太陽光発電事業を公募した狙いは、賃貸料と固定資産税が得られること、加えて非常用電源としての活用だ。エネルギーの地産地消にも役立つとした。

 島後の南端には隠岐諸島唯一の隠岐空港がある。1965年に開港後、2006年には新滑走路が完成したため、従来の滑走路は廃止された。図2の北側が従来の滑走路、南側が新滑走路だ。

図2 建設予定地周辺の地図(クリックで拡大) 出典:隠岐の島町

 発電所の予定地(工区)は赤い四角形の部分だ。1つの大きさは350m×60m(2万1000m2)。2工区ある。町が1工区当たり年額75万6000円で貸し付け、発電期間として20年間を予定する。

 旧滑走路の長さは1500mあり、舗装がそのまま残っている。なぜそのうちの一部しか発電に使わないのだろうか。「中国電力によれば、これ以上発電量を増やしても受け入れができないからだ」(隠岐の島町役場定住対策課ブランド推進係)。図2をよく見ると、どちらの工区も中央に幅5mのすき間がある。これはなぜだろうか。「元滑走路は県有地であり、町が周辺の土地を無償で牛の牧草地として貸し出していた。太陽光発電所建設後も牧草地として使うため、放牧の管理者から(通路としての)要望があったからだ」「企画提案では空港に隣接した立地に適した設計を望む」(同係)。

 2014年9月に企画提案書を受け付け、審査を経て2014年10月に選定結果を公表する。その後、設備認定協議や接続検討、系統連系申し込みを経て、町が事業者と協定や契約を結ぶ。着工時期は2015年4月を予定し、2015年9月から発電を開始する。


 中国電力の実証事業が本格的に動き出すのは2015年9月末の運転開始を待ってからだ(風力発電は2016年度末から)。「現時点ではNAS蓄電池、リチウムイオン蓄電池ともメーカーが決まっておらず、容量(Wh)など出力以外の仕様は未定だ」「設置方法は決まっている。再生エネルギー発電所ごとに設置するのではなく、大型の装置を西の島町の黒木発電所の近隣にまとめて設置したい。これは蓄電池の目的が系統ネットワークの安定化にあるためだ」(中国電力)。

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