鹿児島・指宿で地熱発電、九州電力の接続保留を回避へ法制度・規制

九州電力による再生可能エネルギー発電設備の接続保留が大きな波紋を広げている。鹿児島県の指宿市で地熱発電を計画中の事業者が予定していた発電設備の購入をいったん延期した後、地熱発電には接続保留の影響は及ばないと判断して設備の購入を決めた。

» 2014年10月03日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 IT(情報技術)を中心にヘルスケアや再生可能エネルギー事業を展開するジオネクストグループが、鹿児島県の指宿市で地熱発電のプロジェクトを進めている。2014年9月12日に指宿市内の土地と源泉を取得して、バイナリー方式による地熱発電設備(発電能力260kW)の建設を開始した。

 さらに9月24日に同じ規模の発電設備2台の追加購入を決めたところ、同日に九州電力が再生可能エネルギー発電設備の接続保留を発表したことで、購入を延期する事態になっていた。ジオネクストグループは各方面から情報を収集した結果、接続保留の影響が地熱発電には及ばないと判断して、延期した発電設備の導入を進める。

 鹿児島湾に面した指宿市は温泉地として有名で、地熱資源が豊富に存在することが知られている。市内では九州電力が1995年から地熱による「山川発電所」(発電能力3万kW)を運転している。2013年2月には山川発電所の構内でバイナリー方式の発電設備(同250kW)による実証試験も開始した。

 九州電力が9月24日に公表した資料によると、九州の中部と南部を中心に太陽光発電設備が急増したことにより、特に大分から宮崎・熊本・鹿児島にわたる広い地域で送変電設備の容量不足が生じ始めている(図1)。指宿市もほぼ全域で送変電設備の増強が必要な状態にある。

図1 送変電設備の増強が必要な地域(左、2014年9月時点)と指宿市周辺の状況(右)。出典:九州電力

 九州電力はバイオマス・地熱・水力による発電設備で昼間に電力を流さない方策を講じた場合に限り、個別協議で接続の可否を判断する方針を示している。ジオネクストグループは九州電力との個別協議で接続が可能になるとみて発電設備の追加導入を決定した。2015年内に発電を開始する見込みだ。

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