1万台の蓄電池――遠隔制御で電力の「あふれ」なく、電気料金も削減エネルギー管理(1/2 ページ)

エナリスは2015年から「バッテリーマネジメントサービス」を開始する。250億円を投じて、公共機関や大規模店舗、オフィスビルなど電力を消費する需要家側に合計1万台の蓄電池を取り付ける。蓄電池全体としてデマンドレスポンス要請に応えることで、電力需給バランスをとることが可能になる。需要家は月額数千円の費用を支払うことで、電気料金を3〜5%削減できるメリットがある。

» 2014年10月15日 14時30分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 太陽光発電など再生可能エネルギーの導入量が飛躍的に伸びている。ところが、一般電気事業者は、これ以上、太陽光など、再生可能エネルギーに由来する電力を受け入れる余地が少ないと主張。北海道電力や東北電力、四国電力、九州電力、沖縄電力は、相次いで再生可能エネルギー発電設備に対する契約申し込みを保留すると発表している(関連記事)。

蓄電池の一括制御でデマンドレスポンス

 こうした動きに蓄電池を利用したサービスで対応する企業が現れた。エナリスだ。「バッテリーマネジメントサービス」と称する。250億円を投じ、公共機関や大規模店舗、オフィスビルなど電力を消費する需要家側に合計1万台の蓄電池を取り付けることで、電力需要と供給のバランスをとる(図1)。

 「2015年初頭からシステムの設置を開始し、2015年内をめどに1万台を設置したい」(エナリス)。「蓄電池を設置する拠点の数は需要家によって異なるものの、数千拠点が対象になるだろう」(同社)。

 エナリスが需要家から電池を制御する権限を得る形の契約であるため、一般電気事業者からデマンドレスポンス要請が届いた場合、エナリスが蓄電池を一括して制御し、充放電によって応える。これが需要と供給のバランスにつながる。

 同社は新電力(特定規模電気事業者)として、2014年6月末時点で約200万kWの電力を管理している(電力代理購入サービス)。このため、電力の需要予測のノウハウを蓄積している。気象予報士による発電予測も進めている。さらに、BEMSを中心にエネルギーマネジメントシステムを約1万件販売している。

 バッテリーマネジメントサービスでは、同社が既に実施しているこれらのサービスを蓄電池の管理と結び合わせる。「バッテリーマネジメントサービスを単独で提供するのではなく、電力代理購入サービスと組み合わせて提供する」(エナリス)。

図1 サービスの全体像。エナリスが発電予測に応じて遠隔で受電を制御する。 出典:エナリス
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