全世界で2040年までに稼働する発電設備、再生可能エネルギーが5割に電力供給サービス

主要29カ国で構成するIEAが2040年までの世界のエネルギー動向を予測した。新興国を中心に電力の需要が増加するのに対応して、全世界で新たに稼働する発電設備の規模は72億kWにのぼる。そのうちの5割を再生可能エネルギーが占める。次いでガス火力、石炭火力の順に増えていく。

» 2014年11月14日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 IEA(国際エネルギー機関)が11月12日にロンドンで発表した「World Energy Outlook 2014」では、2040年までの全世界のエネルギーの需要や化石燃料の生産量、発電設備の増加量などを予測している。発電設備の規模は電力需要の増加に伴って、2013年の約60億kWから80%も拡大する見通しだ(図1)。

図1 電源別に見た世界の発電設備の容量の増減(GW=100万kW)。上から順に再生可能エネルギー、原子力、石油火力、ガス火力、石炭火力。出典:IEA

 2040年までに新たに運転を開始する発電設備の容量は全世界で72億kWにのぼり、一方で閉鎖する発電設備も24億kWに達する。新設する設備のうち約5割を再生可能エネルギーが占める。次いでガス火力と石炭火力が2割前後で、原子力と石油火力は1割以下にとどまる。その間に閉鎖する発電設備の影響により、石油火力だけは容量の減少が見込まれている。

 再生可能エネルギーの中では水力の発電量が最も大きくて、2040年まで安定して増え続ける(図2)。設備利用率(発電設備の容量に対する実際の発電量)で水力よりも劣る風力や太陽光は2040年まで水力を上回る伸び率になり、特に2020年代と2030年代に成長が加速する見通しだ。

図2 全世界の再生可能エネルギーの導入規模。左は水力の発電量(TWh=10億kWh)、右は風力+太陽光の発電量(緑)と補助金額(黒、単位:10億ドル)。出典:IEA

 IEAは原子力を対象に閉鎖が見込まれる発電設備の規模を地域別に予測した(図3)。世界全体では原子力発電設備の約4割が2040年までに閉鎖に至る。累計では2億kWに達して、半分近くをEU(欧州連合)が占める。次いで米国、日本の順になる。

図3 全世界で閉鎖が見込まれる原子力発電設備の容量(GW=100万kW)。出典:IEA

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