シャープは2014年12月9日、単結晶シリコン太陽電池モジュール「BLACKSOLAR NQ-210AD」など4製品を発売する。NQ-210ADの価格は12万円(税別)。従来製品と比較して出力が3.5%高くなった他、新たにモジュール本体と出力を20年間無償で保証することが特徴。
シャープは2014年12月9日に、単結晶シリコン太陽電池モジュール「BLACKSOLAR(ブラックソーラー) NQ-210AD」など4製品を発売する(図1)。NQ-210ADの価格は12万円(税別)。
NQ-210ADの出力は従来製品(NQ-203AD)と比較して、約3.5%大きい210W。内蔵する太陽電池セルの変換効率を20.3%から21.0%に高めることで実現した*1)。もう1つの特徴は保証期間の延長である。
*1) モジュール変換効率は18.2%。なお、2014年4月には研究開発の成果として、セル変換効率が25.1%に達したことを明らかにしている(関連記事)。BLACKSOLAR技術に薄膜シリコン太陽電池の技術を加えたことで実現した。
従来のBLACKSOLAR製品では保証期間が2つに分かれていた。10年の無償保証とその後、5年間の有償保証である。太陽電池モジュールの他、システム機器(パワーコンディショナー、電力モニター、架台)が対象。
BLACKSOLAR新製品では、太陽電池モジュールを20年間の無償保証とした。太陽電池モジュールの出力と機器の両方を20年間保証する業界初のサービスをうたう。
出力保証は、公称最大出力の下限値の90%を基準値として、10年後までは基準値の90%、15年後までは同85%、20年後までは同80%を保証する。なお、システム機器も無償で15年保証する。
BLACKSOLARはバックコンタクト(裏面電極技術)を用いて、発電量を増やした製品。2011年3月に量産を開始。最初に同社が投入した製品は「NQ-190AA」(190W、モジュール変換効率16.5%)と「NQ-135AA」。NQ-190AAは今回のNQ-210ADと全く同じ寸法、重量だ。
BLACKSOLARが採用した技術は主に2つある*2)。第1に表面電極を用いないこと。表面に電極を配置すると、電極の影になる部分では発電できない(シャドーロス)。表面電極の代わりに裏面へ2種類の電極を配置した(図2)。
多くのシリコン太陽電池モジュールでは、太陽光が入射する方向から順に表面電極、薄いn型半導体(シリコン)、厚いp型半導体(シリコン)、裏面電極という層構造を採っている。表面電極で電子を、裏面電極で正孔(ホール)を集める形だ。
*2) この他、表面と裏面の全てを再結合防止膜(パッシベーション層)で覆うことができるため、損失を低減しやすい。太陽電池は光が半導体中の電子をはね飛ばし、電池と正孔を生み出すことで機能する。ところが、一部の電子と正孔は電極にたどり着く前に再結合し、エネルギーが熱に変わってしまう。再結合は半導体表面で起こりやすい。
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