和田氏 数多く水素用ディスペンサーを製造していく中、技術的課題やコスト低減について、どのように取り組んできたのか。
小笠原氏 2003年ごろはまだ初期段階にあった。部材として何を選んでよいのか分からず、いろいろとトラブルがあった。規格そのものも不十分であったと思われる。当時はまだ充填圧力が35MPaという時代だ。規格などが固まり始めたのは2012年になってからだ。現在は技術的な視点でみれば、さほど問題はない。
しかし、コスト低減については頭を痛めている。プレクール機器を含めない場合、水素ディスペンサーの費用は当初7000〜8000万円であった。ところが、2016年には半額にすることを求められている。
われわれから見たコスト削減のポイントはこうだ。可能であれば海外の機器・部品をそのまま使いたい。というのは、日本製はまだまだ生産数量も少なく、かつ安全係数が高いため、結果として高額となる。海外で大量生産された機器を採用できれば、大幅なコスト低減につながる。そのためには規制緩和も必要だ。
それでもコスト半減となると少々の工夫では到達できない。不要だと考えられる部品をできる限り取り除くしかないと考えている。
和田氏 ディスペンサーや水素ステーション建設の納期はどの程度か。
与安氏 ディスペンサーは約6カ月(図4)、水素ステーションであれば約1年だ。
和田氏 ディスペンサーとFCVのインターオペラビリティ(相互接続性)の現状は。
与安氏 現在は水素燃料を充填する際の世界標準のプロトコルであるSAEで決まった内容を取り入れている。ただし、通信機能をまだ備えていない。現在は、各ディスペンサーについて、設置の際に自動車メーカーから技術者を派遣してもらっている。接続確認後「お墨付き」を得る形だ。
和田氏 今後通信機能が装備されて、多様なFCVとディスペンサーが混在するようになると、インターオペラビリティが課題になる。
与安氏 FCVの数や種類が増え、各種のディスペンサー製品が登場する段階では、考えておかなければならないように思える。今後の検討課題だ。
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