東レの冒頭のコメントは、正確には材料コストと製造プロセスの改善を合わせて白色LEDの製造コストの半減を目指すという内容。では製造プロセスはどのように改善できるのだろうか。
蛍光体シートは主に3つの製造プロセスに適用できるという。第1に窒化ガリウムウェハーに形成したLEDチップを切り出す(ダイシング)前に、蛍光体シートを直接貼り付ける手法。第2に金属ワイヤを用いないフリップチップ基板に直接貼り付ける手法。第3にダイシング後にリフレクターなどにLEDチップを据え付けてワイヤ配線した後に、細かく分割した蛍光体シートをマウントする手法だ。いずれも接着剤を使用せず、無駄になるシートがほとんどない。
ウエハーに直接貼り付けたり、フリップチップ基板に貼り付ける場合には、蛍光体シートにある程度の面積が必要だ。「シートの幅は最大22cmまで提供可能だ」(同社)。
「開発ポイントをまとめると、今回の蛍光体シートには4つある。屈折率の制御と蛍光体の均一分散、膜厚精度の他に、(シートを柔らかくして)側面貼り付けを可能としたことだ。これはフリップチップタイプのLEDチップにも実装しやすくするための工夫だ」(同社)*1)。この他、蛍光体を高濃度に充填しながら薄膜形成したため、放熱性が優れているという。
「今回販売を開始したのは黄色蛍光体を用いた蛍光体シートだ。今後は(色再現性の改善に役立つ)赤色蛍光体や緑色蛍光体にも対応していく。今回は蛍光体シートを直接販売する形だ。今後はラミネート装置やプロセス技術と組み合わせた提案を進めていきたい」(同社)。
*1) 黄色蛍光体自体は開発ポイントには含まれておらず、一般的な酸化物蛍光体を使用したという。
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